ダイハツ・新型タントとホンダ・N-BOX ホンダの危機はコスト高

2019年8月19日 18:58

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ダイハツ・タント(画像: ダイハツ工業の発表資料より)

ダイハツ・タント(画像: ダイハツ工業の発表資料より)[写真拡大]

 最近の軽四輪自動車は、コンパクトカーを必要としないほど出来が良い。このところ独走してきたホンダ・N-BOXだったが、ここにきてダイハツ・新型タントは、王者にどこまで迫れるのか。N-BOXは走りが良い。新型タントは、基本性能を上げ、得意とする実用性をさらに磨いている。

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 軽四輪自動車と言えば、半世紀以上前、初代スバル・360が国民車の地位を築いた。しばらくして四輪車の生産に進出したホンダが造ったのがホンダ・N360だった。その時の感動がN-BOX登場に似ている。「軽四輪は走れば良い」としか期待していなかったのだが、ホンダ・N360 は良く走った。360ccのエンジンで31馬力であったと思う。

 それは目覚ましいと感じるほどの違いだった。若者でも買える「良く走るクルマ」で、キャビンもスバル・360に比較して角ばっているが広いのだ。「大人4人は何とか乗れる」、モータリゼーションが始まった日本市場で、ホンダ・S500からS600、S800と始まるスポーツカーのイメージそのままに「良く走るクルマ」で、「実用性も上回る」と受け取られたのだった。

 N-BOXも、ダイハツ・タントが築いた「スーパーハイト」と言われるようになった実用性の高い車のジャンルを、走りの良さを加えて、良く走る実用車として市場に訴え掛けたクルマだ。新型タントは、N-BOXの得意分野を避け、歴代タントが築いた実用性の高さをさらに突き詰め、基本である走りでN-BOXに肉薄してきている。

 ダイハツ・タントはBピラーをドアに組み込み、「ミラクルオープンドア」による革新的で実用性が高いパッケージングを実現させて高い人気を得たが、「走り」となると心もとなさがあり、修正舵を必要とすることから「長距離は疲れる」となっていた。街乗りで、買い物や送り迎えと言った使い道なら、これほど便利なものはないが、高速道路を少々走るなど、長時間の運転は避けたほうが良かった。

 今回のマイナーチェンジで新型タントは、走りも向上させN-BOXの駆逐を狙ってきている。ユーザーとしては「スーパーハイト」でありながら、Bピラーをボディから取り除いても衝突安全性を保ち、実用性が極めた高いパッケージングであり、走りが良いとなるとコンパクトカーを選ぶ必要性が激減する。

 ホンダはコスト高なのだが、それは車の性能を高めているからコストが高いわけではなく、世界の生産拠点で平準化が出来ていないことが大きいはずだ。生産システムに関心を示さない経営陣の心得違いと言えるだろう。ホンダが心配だ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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