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日本の総人口が長期的な減少過程に入っているのは周知のことで、10年の国勢調査では1億2805万人だったのが、26年には1億2000万人を割りみ、60年には8674万人になると推計されている(内閣府の将来推計人口でみる50年後の日本による)。
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これに対して総世帯数は、10年の国勢調査による5014万世帯が、23年には5419万世帯とピークを迎え、40年に5076万世帯になると推計されている。世帯数のピークが遅れて来るのは、一人暮らしの増加が予想されているためだ。世帯の平均人員は15年の2.33人から40年には2.08人になる(国立社会保障・人口問題研究所による)。
今までNHKは放送法第64条にある、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」(協会とは日本放送協会であり、NHKを指す)という条文を盾に、テレビ受像機が設置されている先に対して、放送の受信契約を求めてきた。
以前からNHKの受信料の支払いに関しては不払い等の話題が提供されてきたが、NHKが受信契約に応じない相手に支払いを求めた裁判で、最高裁は17年に「受信契約を結び、受信料を支払うのは法的義務」という判決を下した。
ただしこの場合、NHKが一方的な申し込みをしても支払い義務は発生しない。相手が任意で受信契約に応じない場合は、承諾の意思表示を命ずる判決を求めて提訴し、判決の確定によって受信契約が成立するという、ややこしい手続きは必要である。
NHKが公表しているところによると、17年の総世帯数が5466万世帯であるのに対して、受信料免除世帯やテレビ所有率と故障率により算出された世帯数を控除した、契約対象世帯数は4623万世帯(1)である。これに対して、受信料支払世帯数が3683万世帯(2)となり、支払世帯率は約80%(2/1)となる(NHKによる総世帯数は、「国勢調査」や「日本の世帯数の将来推計(国立社会保障・人口問題研究所)」等をもとに推計したという)。
受信料を徴収するNHKが、契約対象世帯数がほとんどピークにあり、4年後から減少に転ずるということを深刻に受け止めて、対策を進めているのは当然のことである。
それが、放送をインターネットで同時に配信することを可能にする法改正である。18年11月、NHKの経営委員会はネット同時配信を認める条件として政府から求められていた、受信料の引き下げ幅を4.5%とする計画を了承した。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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