パイオニア「インテリジェント パイロット」にAI「ユアスコアリング」追加 高機能化

2019年3月1日 13:49

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AIスコアリング機能「YOUR SCORING」の概要。(画像: パイオニアの発表資料より)

AIスコアリング機能「YOUR SCORING」の概要。(画像: パイオニアの発表資料より)[写真拡大]

 GPSカーナビゲーションの先駆者であるパイオニアは、「インテリジェント パイロット」にAIによる「ユアスコアリング」機能を追加、より高機能化した。パイオニアはGPSを使った地図ソフトを独自に開発してきたが、かつてはオーディオ機器メーカーとして頭角を現した企業だった。

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 1980年代、「プライベート」と言われた、小型で自室の棚に収まるオーディオセットを大ヒットさせ、日本国内にとどまらずソニーなどと共に海外でも知られるようになった。その小型オーディオは、音の質にこだわるマニアの間では驚愕に値したものだった。それまで、音質を求めるマニアの間では30cm以上のスピーカーサイズを当然に求めていたが、「プライベート」のサイズはスピーカーのサイズによらず高い性能を示していた。現在の手のひらサイズのスピーカーでも本格的音質を再現できる技術の始まりだったのだ。

 また、パイオニアは、レーザーディスクで映像とリンクさせ「カラオケ」で一大ブームを巻き起こしている。光ディスク開発段階でDVDレコーダーに通じる試作品をパイオニアから預かり、商品化のアドバイスをパイオニアから求められたときには、大容量化のメリットしか思い至らなかった悔しさが残った。常に高い技術力をいつも示してきたパイオニアだが、韓国企業などの低価格路線に対抗できず、経営危機に陥っていった。小さな子会社の後始末を相談されたときには、パイオニアは既に主力製品を失い、迷走し始めているときだった。

 自動車関連機器に主力を移しているなかで生まれた、今回の「インテリジェント パイロット」へのAI「ユアスコアリング」機能追加は、地図情報などを組み合わせたドライバーごとの潜在的なリスクまで診断して見せている。これから自動運転などでリスクを避ける機能が発展すると、一律に法規制することが無意味となり、最高速度なども車両に搭載されたAIに判断を任せるようになり、スムーズな交通が行われる可能性が高い。

 つまり、道路が空いていて安全なとき、車両の性能が高ければ、300km/hで巡行して目的地に向かうことも可能になるかもしれない。そうした意味で、早くAI自動運転が実用化されることが楽しみになる。パイオニアの「インテリジェント パイロット」の高機能化は、この方向に一致しているものと言える。

 1つ気になるのは、「ユアスコアリング」はマーケティングなどに使われてきたシステムだが、「ポスレジのバカ(顕在市場しか捉えられない)」に陥る心配があり、「市場創造(潜在市場を掘り起こす)」については、現状では方向性が違っている可能性が高い。出来るだけ早く「提案型(ライフスタイルに働きかける)」の方向性を見つけられるAIの鍛え方を開発してほしいものだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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