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【日本は貧乏になって行く(3)】 社員は消費者、つまり「車ユーザー」なのだ
■社員は消費者、つまり「車ユーザー」なのだ
自動車メーカーの経営者に自覚はないであろうが、車を買ってくれるお客様は「社員」なのだ。もちろん、すべてのユーザーが直接社員ではない。しかし、会社で働く労働者は、それはすなわち社会の消費者であることは知れたことだ。その社員に十分な収入がなければ、社会は成り立たない。先進国のGDPの伸び率が低迷するのも、自国の市場では物が十分売れないからだ。それは当たり前で、一部の投資家に多額の利益が渡れば、消費しきれないので資金が滞留する。それでは世の中にお金が循環しない。一般労働者が、車を買うお金がない。
【前回は】【日本は貧乏になって行く(2)】 社員の貧困を放置する自動車メーカー
つまり、コスト削減で「人件費を削減」することは、「お客様の購買力を削ぐこと」と等しいのだ。これを自覚できない経済学者、経営者がほとんどだ。ベストセラー著者であるピケティ氏に言われるでもなく、企業が株主に配当をすれば、その分が社会を循環している資金から大部分が抜けることになり、市場の購買力が低下して、経済は低迷していくことになる。労働者、すなわち消費者に利益が還元できなければ、他国に市場を見出していかねばならない。それが「産業革命の本質」で、この経済的メカニズムが、第1次、第2次世界大戦を引き起こしているのだ。第3次世界大戦は「核兵器があるため」、抑制されている「皮肉な現実」がある。
「資産家トップ8人の資産が、世界の人類の半数の資産に匹敵する」経済が、順調であることが不思議なくらいだ。日本の上場会社の株主に対する年間配当の総額は、13兆円程度だと言う。上場していない企業の配当金や、世界の標準とはいえ、年収10億円という取りすぎと思われる役員報酬などを正常化したなら、社員の給料にどれくらいの資金が回せるかを想像してみよう。
■視野を広げて新経済理論
そう考えてくると、「2017年乗用車市場動向調査」は、検討がばかばかしくなるほどのデータであると感じてしまう。「配分の平準化」をしなければ、「購買意欲」を検討するのも空虚だ。経済の知識などなくてもよい。「考えればわかるだろう!」と言いたくなる事実だ。
自動車メーカーは、「社員に対する利益の配分」をどのような方法でしていったらよいのかを考えることだ。「保護貿易」の潮流が出ている現在、グローバル経済とはいったいどのようなメカニズムなのかを「よ~く」考えてみることだ。「新資本主義」なるものの正体を知ることだ。
「保護貿易」を検証し、国内市場のメカニズムを変えて、国内だけで成り立つ部分を探してみてはいかがであろうか。日本国内だけ「高給」でも、輸出競争をしなければ成り立つ。それは「コメ」「土地」を考えれば分かってくる。「地産地消」といったところだ。地方創成のためにも、新経済理論が欲しい。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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