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生き残りへ必死のタクシー業界 ライドシェア阻止へ、グループ化進む!(前編)
全国タクシーのアプリ画面。(画像: JapanTaxi)[写真拡大]
首都圏で首位の座を争うタクシー大手のライバル企業、日本交通グループと東京無線協同組合(東京・新宿)の配車アプリにおける提携が7月24日、公表された。きっかけと見られるのは、ソフトバンクグループを率いる孫正義会長兼社長が、日本のライドシェア禁止について「そんなばかな国があるのが信じられない。未来の進化を自分で止めているという危機的な状況にある」と持論を声高に主張したことだ。“ライドシェアの解禁は、タクシー業界の地盤沈下を決定付ける”そんな危機感が、積年のライバル関係を超えた結び付きにつながった形だ。
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両者が利用するのは日交グループ会社のジャパンタクシー(東京・千代田)が運営する配車アプリ「全国タクシー」だ。7月25日から東京無線の約3,800台の車両が呼べるようになった。日交の車両数(約4,500台)に並ぶ大手の参画により、同アプリの対応車両数は6万台に増え、全国の総車両数の4分の1を占める。東京では同アプリで呼べる車両数が一気に5割増え1万1,600台となった。
ジャパンタクシーが展開する配車アプリ「全国タクシー」は、ダウンロード数が500万以上の日本最大のタクシー配車アプリで、地域は全国に対応している。スマートフォンの地図上に表示された走行中の車両を見ながら車両の手配が可能だ。
ジャパンタクシーにはトヨタ自動車が出資しており、走行データの収集・分析を行い、タクシー向けの通信端末や配車支援システムの開発などで連携を進めている。配車アプリや車両から得られるデータ活用を日本勢主導で展開することを狙う。
2月から3月にかけては、トヨタ、KDDI、アクセンチュアと共同して、AI活用によるタクシーの需要予測システムの実証実験を行った。タブレット上の地図に30分単位の乗車予測を表示して、乗務員が乗客を探しに行く。実験により、初心者の乗務員でもベテランに匹敵する売り上げを計上できる目途が付いた。18年度中の実用化を目指している。
日交グループの2017年の無線配車件数は515万件で、前年比53%増となった。原動力が配車アプリで、無線配車の7割程度を占めたという。アプリを使えばタクシーの稼働率が高まることをアピールし、全国のタクシー会社に参加を呼びかけている。
東京無線はこれまで自社で配車アプリを運営してきたが、自社アプリよりも利用者数が多い全国タクシーを導入することで、需要拡大を図る考えだ。全国タクシーは目的地へのルートを検索するグーグルマップ経由でアプリをダウンロードできることもあり、訪日客の認知や利用も高まりつつある。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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