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トヨタ・クラウンはドイツ・プレミアムカーを超えたか? 決定的な日本車の欠点ブレーキ(2)
新型クラウン・TNGA FR プラットフォーム(画像: トヨタ自動車)[写真拡大]
40年ほど前、BMWはセダンを基本にしたツーリングと呼ぶ「ステーションワゴン」をシリーズに追加することがあった。ステーションワゴンはセダンに比較すると、ガラス面積が増え、重量が重くなる。現在のハッチバックスタイルは、みなその傾向にある。BMWはその重量増加に対処するためにタイヤを変更するのだが、その時はブレーキのディスク径も大きくしてくる。それもカタログの仕様を変えるだけで、特に宣伝したりしていなかった。それは、重量が増えればブレーキ容量を増やすのは当然だからだった。BMWにとって、車の物理的条件を最優先にして仕様を決定することは、当然のことだからだ。日本車のように、「お客様が気付かないところは省く」意識はない。
【前回は】トヨタ・クラウンはドイツ・プレミアムカーを超えたか? 決定的な日本車の欠点ブレーキ(1)
対して日本車を見てみよう。現在、日本車でも17~18インチタイヤは当たり前のようになった。19~20インチもある。しかし、同じ車種のバリエーションで、ブレーキディスク径を上げてくる車は少ない。皆無と言ってもよいほどだ。だからディーラーで車を見せてもらうときは、必ずディスクをのぞき込む。すると、「これじゃスカスカで腕が入るよ!」と言って、嫌味のように笑うことがほとんどだ。ブレンボを装備する車も同じだった。
これは、『緊急ブレーキ制動距離が長くなる』ことを意味している。緊急ブレーキの利き具合が、現在でもBMW、ベンツなどと比べると劣るのだ。これが私の日本車に対する不満として、半世紀前から未だに変わらぬところだ。
自動車雑誌「ベストカ―2018.9.10号」の記事を見ると、クラウンとベンツ・Eクラスの緊急ブレーキ制動距離の比較において、『100km/hでは、クラウン31.0m・ベンツ29.0m。120km/hでは、クラウン47.4m・ベンツ42.4m』とかなりの差を付けられている。この雑誌の比較テストで、必ずしも性能全般を比較できているとは思わないが、この制動距離だけで見れば、現在でもクラウンは一時代遅れているとなる。どうしたことか、これは半世紀前と変わらない。表面化するカタログデータでないと日本車は「手抜き」するようだ。「マシンそのもの」に対する認識が、ドイツとはかなり違う国民性と言えるのだろう。
日本車の決定的弱点は「考え方」である。最近の品質軽視の経営方針は、万が一の「物理的条件」を無視する日本人の考え方の弱点でもあり、日本のユーザーも「車」を勉強して良く観察しなければ、自動車産業の発展はないだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)
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