日産・リーフ分解 現状EVから学べる未来のクルマ その姿は?

2018年4月25日 06:41

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日産リーフ(画像: 日産自動車の発表資料より)

日産リーフ(画像: 日産自動車の発表資料より)[写真拡大]

 日経 xTECHと、日経BP総研が主催するリアル開発会議が、共同で新型「リーフ」の分解展示会を沖縄県豊見城市で、2018年2月1~6日まで実施した。自動車部品メーカーや材料メーカーなど14社、約40人の自動車業界関係者が集結した。

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 そこから、車造りにかかわっている各社が自分の立ち位置を見定め、新しい企業の役割を見つけていけるように、現在のEVを分解してみている。その結果、関係者は以下のような感想を持ったという。
“「ガソリン車よりも部品点数がかなり少ない」「軽量化を狙ったアルミや樹脂のパーツが全然ない」「多くのECUがダッシュボードに集約されている」”(日経ビジネスONLINE
)

 現在の電気自動車を理解して将来の進むべき道を探るのは、個々の調査では難しい面もある。それを日経 xTECHと、日経BP総研が主催する「リアル開発会議」が代わって分解展示を実施し、将来につなげていこうとしている。

 各社の反応を集約しているのが、以下の3項目だ。

【1】「ガソリン車よりも部品点数がかなり少ない」

 これは既に予想されていたことなのだが、分解して並べてみると実感がわくのであろう。自社が担当している部品がなくなっている企業もあったのではないか。そこで気が付かなければならないことは、「ガソリン車とはパッケージング全体が違ってくるべき」との見通しだ。EVにとって実用乗用車・商用車の領域では、一番大切なところのはずだ。実用機能としてパッケージング全体を見直すことが重要だ。

【2】「軽量化を狙ったアルミや樹脂のパーツが全然ない」

 車の軽量化は燃費向上には欠かせない問題で、EVと言えども同じなのだが、これはリーフが車として十分な開発段階ではないと言えるのだろう。バッテリーの開発が進むとバッテリーそのものは軽くなってくるものと言えるが、車体そのものの軽量化は、より積極的に進める必要を感じる。新素材の使用はガソリン車でより進んでおり、EVとしても後れをとってはいられない分野だ。

【3】「多くのECUがダッシュボードに集約されている」

 ECU(Electronic Control Unit)、つまり自動車には多数のマイコンが搭載されているが、その多くがダッシュボードに集まっていたとの内容だ。ある意味、集中することはメンテナンス、モデルチェンジなどを考えると望ましいことだが、EVになったときには車のパッケージングそのものを改善したときの姿を考えるべきだろう。エンジン車との違いが表れるところとしては、居住空間との兼ね合いで「パッケージング」が重要と思われるからだ。

 EVのメリットを最大限出させるには、ガソリン車との違いを意識するべきだが、現状では意外にオーソドックスな姿から抜け出せないでいる。その一例は、まずエンジンルームが存在することだ。居住空間を優先に考えれば「ホイール・イン・モーター」の形態をとるのが理想であろう。しかし、それだとバネ化重量が大幅に増えるため、実用車では有効でも、スポーツカーなどでは現実的ではない可能性もある。モーターはプラットホームに取り付けて、4輪個別のモーターとする案もある。

 エンジンルームにトランクルームを設置など、従来のパッケージングを基本から見直すことが「良いEV」を造ることになろう。各企業では、発想を過去にとらわれることなく、実用的な形態に相応しい部品作りなどを検討しておくことだ。特にこの記事では取り上げていなかったが、新バッテリーの開発が急速に進むことを考慮しておくべきだろう。

 自動車業界の現場で、EVに対応する研究が進んでいくことは大変良いことだ。しかも、専門マスメディアが音頭をとって現実的な「分解」に出たことは、開発側にもメリットが大きいと考えられる。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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