関連記事
ローム、4~9月期決算見通しを上方修正 過去最高売上も視野か
■売上高は2ケタの増収、最終利益は2.45倍
10月10日、京都市右京区に本社を置く電子部品メーカー、ロームが4~9月期(第2四半期/中間期)の連結業績見通しを上方修正した。
売上高は1870億円から2000億円へ130億円(7.0%)の上方修正。前年同期比16.4%増の2ケタ増収になった。営業利益は200億円から270億円へ70億円(35.0%)の上方修正で、前年同期比71.0%増の大幅増益。経常利益は190億円から285億円へ95億円(50.0%)の上方修正で、前年同期比3.45倍。四半期純利益は145億円から200億円へ55億円(37.9%)の上方修正で、189.08円の1株あたり純利益(EPS)とともに前年同期比2.45倍を見込んでいる。減収減益だった前年の中間期から一変して、大幅な増収増益決算になる見通しだ。
純利益の通期見通し(280億円)に対する進捗率は50%を大きく超える71.4%で、通期の当期純利益見通しを上方修正するのが十分、予測される数値である。
■自動車、産業機器、ゲーム機の「三本の矢」
4~9月期の業績を上方修正した理由としてロームは、売上高については「車載向け、産機向け、ゲーム機向けなどの計画を上回る好調さ」と「為替レートが想定よりも円安に推移したこと」を、利益については「売上増と固定費の抑制」を挙げている。
ロームの製品群はLSI(大規模集積回路)、半導体素子、受動部品、モジュールなどラインナップが幅広いが、上半期に受注が好調だった分野は重点分野に位置づける自動車、産業機器と、ゲーム機だった。為替の円安を背景に輸出向けも国内向けも受注が順調に入ってきたため工場の稼働率が高まり、生産の効率が上がり採算が好転して利益が増えるという好循環。売上高営業利益率は13.5%で、前年同期比で4.3ポイントも積み上がっている。
自動車向けは「電装化」の進展がいま急ピッチで、メーターが液晶パネル化するダッシュボード、クラッチやトランスミッションが電子制御化する動力伝達装置、ヘッドライトのような電装品など幅広く、ロームのLSIやパワーデバイスの需要が伸びている。上半期、世界の自動車業界でにわかに浮上した「EVシフト」が現在以上のペースで進むと、自動車向けのLSIや電子部品の需要はますます拡大しそうだ。
産業機械向けは、国内外のあらゆる製造業で「工場の自動化」という大きなトレンドがある上に、スマホのような電子製品の生産が回復した中国をはじめとする海外市場の需要の伸びや、為替の円安が寄与していた。
ゲーム機向けは、任天堂が3月に発売した新型家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ(Nintendo Switch)」の売れ行きが好調で、それがロームの業績にも大きく貢献したと推定される。任天堂のゲーム機にはローム製品が数多く使われてきたと言われているが、それは「スイッチ」も同様。需要がある程度は予測できる自動車向けや産業機械向けと違って、ゲームの業界は大ヒットしたことによる「うれしい誤算」がありうる世界。それが当初の想定を超えた好業績に寄与したと言ってもいいだろう。
■日本電産も村田製作所も通期上方修正に期待
ロームの今期の想定為替レートは1米ドル=105円だが、4~9月期の平均為替レートは111円で、6円分の円安・ドル高が業績を押し上げた。4~9月期の円安による増収効果は60億円強とみられている。固定費の抑制では販売管理費や減価償却費の減少が効き、経常利益が大きく伸びた。
ロームは、11月1日に予定してている4~9月期決算の発表に合わせて、2018年3月期の通期業績見通しを、上方修正する可能性が大きい。ロームと同じく京都に本社を置く電子部品メーカーの日本電産、村田製作所も好調で、4~9月期の決算発表時、あるいはその前に「通期業績見通しを上方修正」というニュースが聞かれるのではないかと、期待が高まっている。(編集担当:寺尾淳)
■関連記事
・自治体の積立金、21.5兆円、過去最高
・2016年度決算の上場企業3,062社の外国法人等株式保有比率は11.4%
・経営課題山積みのジャパンディスプレイ 下請企業の合計は全国で2391社
・コニカミノルタが産業革新機構と米遺伝子診断会社を買収
・上場のメーカー130社は2018年3月期決算の期初想定為替レートが1ドル=110円と105円に二分
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク