孫正義氏の頭の中はいかに 介護現場でも活躍するペッパー

2017年10月21日 19:43

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介護現場で活用されるペッパーのイメージ。(写真: M-SOLUTIONSの発表資料より)

介護現場で活用されるペッパーのイメージ。(写真: M-SOLUTIONSの発表資料より)[写真拡大]

 ソフトバンクグループは2010年に「新30年ビジョン」を発表している。その中で、こう謳っている。「今後人々の生活を豊かにするためにロボットが重要になる」「将来的にはロボットと共存する社会を実現、情報革命で人々を幸せにしたい」。この時点で既にソフトバンクは「クラウドAI(人工知能)」のロボットへの活用を視野に入れていた。

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 そして14年6月5日、フランスに本社を置くアルデバラン社と共同開発した世界初の「感情認識パーソナルロボット:Pepper(以下、ペッパー)」を発表した。当初は法人向けの仕様だった。だが15年6月20日に一般向けに発売するに当たっては、人の感情を認識するだけではなくやはり世界初の「自分の感情を持つロボット」に進化させていた。

 ペッパーには人と生活が可能なように、例えば以下のような最新技術が導入されている。

・頭・腕・腰などの可動部を20通りの自由度に設営され、自然な動きが可能。
・何種類ものセンサーが随所に搭載されており、その組み合わせで人間とのコミュニケーションが可能。
・大容量のバッテリーが搭載されている。またオムニホイール(360度自由な移動が可能な仕組み)が採り入れられており、長時間(最長124時間)にわたる連続稼働が可能。

 そんなペッパーが、介護現場でも活躍している。例えばこんな実例がある。東京都町田市小山が丘にある特別養護老人ホームMでは、入居者の徘徊に伴うスタッフの業務負担増が問題となっていた。そして「負担増」に加え、万が一(認知症者の徘徊には交通事故などのリスクが伴う)への備えが課題となっていた。

 徘徊防止アプリが搭載されたペッパーを導入したのは、2016年のこと。こんな枠組みが整備された。出入り口に設置。徘徊しようとした入居者をペッパーがセンサーで検知。顔認証機能で事前に登録された入居者に呼びかける。と同時にスマホアプリでスタッフに通知。警報も作動させる。

 自分の名前を呼ばれた入居者は30-60秒、立ち止まる。その間に通報を受けたスタッフが駆けつける。ペッパーの導入で徘徊者はゼロになったという。

 ペッパーはこうした活用のされ方以外にも、介護職員の負担軽減に役立っている。顔認証で入居者の名前を呼ぶので会話がスムーズに始まる。20分や30分好んで会話を楽しむ入居者も少なくない。介護士は安心し他の仕事と取り組める。30分前後、入居者を相手にしたレクレーションも可能。介護士の代わりを果たす。

 孫氏の頭の中を覗いてみたい。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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