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疑問が拭いきれない「相談役・顧問」の存在
私が「相談役」の存在に驚天動地の驚きを覚えたのは、粉飾決算に端を発しいまや「上場廃止」の瀬戸際まで追い込まれている渦中の「東芝」問題の初動期だった。2015年に粉飾決算を容認・主導したとして田中久夫社長・佐々木則夫副会長・西田厚聰相談役(いずれも当時)の歴代3人の社長が辞任した。そして後継社長に就任したのが取締役会長の室町正志氏。
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私は当時、他ならぬ東芝の部長職者から「当初は西室さんも“自分にも取締役として粉飾決算を見抜けなかった責任がある”と、社長就任を固辞していた」と聞いた。だが結局就任した。その経緯を明らかにしたのが社長・会長を歴任し「相談役」だった西室泰三氏。記者会見という公の場で「残る方が辛いかもしれないが、あなたに期待していると説得した」と、自らが「断を迫り、首を縦に振らせた」ことを明らかにしたのである。相談役による社長人事に他ならない。先の部長職者は「うちは相談役などのOBが人事を含む権力を持つ、という歴史があらためて表面化した」と、呆れ顔で語った。
会社法に、相談役・顧問という役職は存在していない。しかし昨年、経済産業省の調査(東証1・2部上場企業2502社を対象/874社から回答)で以下の様な状況が明らかになった。
*約8割の企業に相談役・顧問制度が存在し、約6割の企業に(調査時点で)相談役・顧問が存在している。
*社長・CEOの経験者が就任しているケースが、6割近い。
では彼らはどんな役割を果たしているのか。「現経営陣への指示・指導」「業界団体や財界活動」「顧客との取引関係の維持・拡大」といった、いわば当たり障りのない回答が多かった。だがこんな回答もあった。「中長期(3年以上)の経営戦略・計画への助言」(92社)、「年度単位の経営計画への助言」(85社)、「本社役員の人事案件についての助言」、「従業員や関係会社役員の人事案件についての助言」。これらは、「未だ経営と関わっている」と捉えることができる。
そしてそれ以上に驚かされたのは、役割を「把握していない」「特になし」とした企業が116社もあったという点だ。
会社法に存在しない職名だけに、当然「報酬」等々の公の規定はない。だが「年収3000万円クラスも少なくない」という。
相談役・顧問制度に法の網をかけるべきではないだろうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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