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老舗エンブラエル、ボンバルディアに挑む国産旅客機MRJ
YS-11以来、およそ半世紀ぶりの国産旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)の初号機が来年4月以降にANAホールディングスへ納入される。
三菱重工業〈7011〉が傘下の三菱航空機を通じて開発するMRJは、アメリカのボーイング社とヨーロッパ連合のエアバス社が主力とする大型旅客機とは異なり、地域路線向けの小型旅客機で、リージョナルジェットと呼ばれている。三菱航空機では、今後20年間に61席~100席クラスのリージョナルジェットだけで5300機以上が必要になると予想している。
問題は、先行する旅客機との競争にどう打ち勝つかだ。この市場の老舗が、ブラジルのエンブラエルとカナダのボンバルディアだ。エンブラエルは「Eジェット」ファミリー、ボンバルディアは「CRJ」ファミリーを製造している。この2社以外に、新規参入組としてロシアの「スホーイ・スーパージェット100(SSJ-100)」と、中国の中国商用飛機有限公司の「ARJ21」がある。
MRJは、これらの先行旅客機を追う立場にあるが、後発のメリットも大きい。より新しい技術を採用することができるからだ。例えば、MRJが米プラット&ホイットニー社製のエンジンを採用することによって、競合機と比較して、燃費が20%以上向上し、騒音も大幅に低減された。燃費向上は、安い運賃での提供に直結する。また、MRJは競合機より、客室の天井が高く、荷物スペースが広く設計されている。
問題は、MRJに実績がないことだ。しかし、MRJはすでにANAから25機、JALから32機の発注を受けている。
英アセンド・フライトグローバル・コンサルタンシーのロブ・モリス氏は「MRJは2033年までに、リージョナルジェット受注のうち22%を獲得することができるだろう」と予測している。果たしてMRJはエンブラエルとボンバルディアの牙城を崩させるのか。世界が注目している。(編集担当:久保田雄城)
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