燃料電池車(FCV)の基幹ユニットであるFCスタックを支える重要部品、住友理工から

2015年5月24日 14:00

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記事提供元:エコノミックニュース

トヨタの燃料電池車「MIRAI」に搭載されているFCスタック。このなかにトヨタと住友理工が共同開発したガスケットを組み合わせた370枚のセルが積層でいる(トヨタ自動車展示ブースで撮影)

トヨタの燃料電池車「MIRAI」に搭載されているFCスタック。このなかにトヨタと住友理工が共同開発したガスケットを組み合わせた370枚のセルが積層でいる(トヨタ自動車展示ブースで撮影)[写真拡大]

 住友理工<5191>は、同社のコアコンピタンスである「高分子材料技術」を駆使して燃料電池(FC)スタック向けのゴム製シール部材「セル用ガスケット」を開発。2015年5月20日から神奈川県・パシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展2015」に出品していた。

 同社がガスケットの量産を開始したのは2014年11月のことで、トヨタ<7203>が同年12月に発売した燃料電池車(FCV)「MIRAI」に採用されている。

 この製品は2008年からトヨタと住友理工が共同で開発した基幹部品であり、燃料電池内で水素と酸素が化学反応して電気を生み出す際に発生する水の流路を確保し、生成された水の排水性を高めるシール部材。これを用いたセルの開発により、FCスタックの高性能化や小型・軽量化を実現した。

 同社独自の配合技術を駆使し、マイナス30度の低温から100度付近の高温まで、幅広い温度範囲で長期シール性を実現した。同社の高機能ゴムと、自動車用防振ゴムなどの製品開発を通じて培った精密加工技術を融合して開発したゴム素材によって最適なシール部材の開発に成功した。この結果、「MIRAI」の基幹をなす燃料電池(FC)の長期信頼性を確保できた。

 同社は2000年代前半にFC用製品の開発に着手しており、燃料電池製造の最終工程で、汎用ゴムを使用しながら自己接着性を持たせたガスケットを用いることで各種発電部材の一体加工を実現し、安定した発電が可能なセルの生産を支えている。このセルを370枚重ねたFCスタックが、トヨタの燃料電池車「MIRAI」の動力源となっている。

 同時に、従来型自動車に供給してきた、路面からの振動を抑え、車内の快適性の向上に寄与する「防振ゴム」、燃料電池の発電に必要な水素と酸素をFCスタックへ供給する「ホース」、独自の発泡ウレタン材料を用い車両の快適性を向上させる「ウレタン製部品」など、多くの住友理工の製品が、MIRAIに搭載されている。

 住友理工は5月11日、FCVに搭載する燃料電池部材の安定的な供給体制を確立するため、FC部材製造会社「住理工FCシール」を設立したと発表。これまでFC製造部門で担ってきた生産機能を新会社に集約し、事業の拡大と効率化を図る。なお、開発機能についてはこれまで通り、住友理工に残し、より競争力のある製品の開発を行うという。(編集担当:吉田恒)

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