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国内ガソリン需要、10年で1割減。今後もこの傾向は変わらず年2%減が続く
原油安でガソリン価格は下がっても、その供給量が減少傾向にあり、今後も毎年2%ずつ減少すると見込まれている[写真拡大]
資源エネルギー庁の発表によると、国内のガソリン需要が減っている。同庁では、ハイブリッド車などの燃費の良いエコカーの普及や軽自動車のシェア拡大、高齢化や地方の過疎化によりクルマ離れが進んだことによる構造的な需要減少だとしている。
なかでも登録車の総数に占めるハイブリッド車は、2014年に約384万台で、2004年の30倍近い数となった。こうした世情を睨んで石油元売り各社は業界再編や製油所縮小に動いている。2014年の国内ガソリン販売量は5355万キロリッター(前年比97%)で、10年前に比較すると13%減った。
需要減に伴って、日本国内のガソリンスタンド減少にも歯止めがかからない。同庁の発表数字で見ると国内のガソリンスタンドは、2013年時点で3万4706軒。2003年に比べると31%減少した。いわゆるクルマが無いと生活できない地方では高齢化・過疎化が進行して採算の合わないガソリンスタンドの廃業が相次いでいる。
ガソリンスタンドが減っているのは、いわゆる田舎だけではない。もともとスタンドの数が少なかった東京都心の中央、港、千代田各区のガソリンスタンドでは、スタンドがオフィスビルになったりして減少。既存のガソリンスタンドでは、洗車と給油で訪れる黒塗りセダンの行列渋滞も出現する。
こうした状況を踏まえて、国と石油業界は国内需要減少への対応に動き出している。国は2009年にエネルギー供給構造高度化法を制定し、これをもとに石油業界が2014年3月末までに国内の原油処理能力を2008年に比較して20%削減してきた。石油連盟によると、2017年3月末にはさらに10%の処理能力削減を目指している。
石油元売りの出光興産では、この4月から千葉製油所で1日あたり2万バレルの原油処理能力を削減、東燃ゼネラル石油も川崎工場で1万バレル相当の削減を実施しているという。
出光による昭和シェル石油買収検討などの石油元売り各社の再編も進み、この先ガソリンなどの供給が絞り込まれると予想されている。
資源エネルギー庁がこの4月に発表した見通しによると、2017年以降も国内のガソリン需要は毎年2%以上減少していくとされている。(編集担当:吉田恒)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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