武田製薬、和解金支払いなどで上場以来初の赤字

2015年5月18日 12:51

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記事提供元:エコノミックニュース

 製薬大手の武田薬品工業<4502>が15日、2015年3月期の連結決算を発表。それによれば、アメリカでの集団訴訟の和解金などで約3240億円を引当金として計上したことなどの影響により、1949年に上場して以来、初の最終赤字となった。

 売上高は前期比5.1%アップの1兆7778億円、営業利益は1292億円の赤字、当期利益も上場以来初となる1430億円の赤字となった。去年アメリカなどで発売を開始した潰瘍性大腸炎の治療剤「エンティビオ」をはじめ、海外での販売が好調に推移したことにより売上高は前期比5.1%アップ。しかし国内の販売は14年度の国の薬価改定がマイナスとなったこと、またジェネリック薬の浸透の影響などによりマイナスとなった。さらにアメリカで糖尿病治療薬「アクトス」をめぐる集団訴訟において原告側と和解し、約3420億円の和解金を支払ったことなどの影響により、営業利益、最終利益ともに赤字となった。

 16年3月期の業績予想については、売上高で1兆8200億円、営業利益で1020億円、最終利益で680億円を見込んでおり、次期には赤字から脱却できるだろうとの見方を示している。

 そのほかの製薬大手の15年3月期の連結決算も出揃っており、アステラス製薬<4503>は売上高が前期比9.4%アップの1兆2472億円、営業利益が前期比59.0%アップの1856億円、最終利益が前期比49.5%アップの1358億円という結果であった。主力の前立腺がん治療剤「イクスタンジ」の販売が大きく伸長したほか、北アメリカやヨーロッパでの販売も伸びて全体をけん引した。

 第一三共<4568>は売上高が前期比2.3%アップの9193億円、営業利益が前期比34.1%ダウンの744億円、最終利益が前期より5.2倍増えて3221億円という結果であった。アメリカの子会社の抗がん剤事業を減損処理したため減益となったが、08年に買収したインドの子会社が他社に吸収合併されたことにより、簿価との差額を特別利益に計上したため細粒利益は大幅増となった。

 エーザイ<4523>は売上高が前期比8.5%ダウンの5484億円、営業利益が前期比57.3%ダウンの283億円、最終利益は前期比13.1%アップの432億円という結果であった。13年にアメリカで主力の抗潰瘍薬の特許が切れたことが影響して、大手4社のなかでは唯一の減収となった。(編集担当:滝川幸平)

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