女性向け物件が続々! 相続税対策でも注目される「魅力ある賃貸住宅」とは?

2015年2月14日 21:19

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記事提供元:エコノミックニュース

積水ハウスの共用エントランス。女性に向けに高級感を高めた賃貸住宅が増えている

積水ハウスの共用エントランス。女性に向けに高級感を高めた賃貸住宅が増えている[写真拡大]

 今、女性向けの賃貸住宅が熱い注目を集めている。今年1月からの相続増税を受け、その対策として賃貸住宅の経営に乗り出す人が増えている中、住宅メーカー各社では、女性をターゲットにした賃貸住宅の提案を積極的に行っている。

 女性の未婚率や晩婚化は増加する一方だ。2010年の国勢調査を見てみると、20歳~50歳代の単身世帯の女性は約351万人。1990年と比べて1.6倍増加していることがわかる。相続税対策として賃貸住宅の供給が増える中、単身女性向け賃貸住宅登場の背景には、これら需要の増加と、従来の賃貸物件との差別化を図る目的があるが、オーナー自身の希望も大きいようだ。

 例えば、大和ハウス<1925>の「セジュール」では、単身女性をターゲットとしたウォークスルークローゼットをはじめとする多機能大容量の収納設備やドレッサータイプの洗面化粧台などを備え、ホームセキュリティシステムを標準搭載した防犯配慮型賃貸住宅を用意している。

 また、パナホーム<1924>でも、単身女性視点を取り入れた賃貸住宅ブランド「ラシーネ」において、パナソニックの人気商品「ナノイー」の発生装置をリビングやクローゼットに設置。ニオイをはじめ、カビ菌やウイルス、アレル物質など目に見えない不快要素を抑えることで清潔感を打ち出している。

 しかし、これら単身女性向けの賃貸住宅の増加に懸念を示す声もある。単身女性の需要が増えているとは言え、賃貸住宅市場全体としてみると単身女性向け賃貸住宅の需要は大きいとは言えず、近隣に女子大がある、都市部の駅近など、場所も選ぶ。また、単身女性は比較的新築志向が強く、結婚や転職などで住み替えたり、ファミリー層と比べ入居期間が短い。単身女性だけに絞ってしまうことで、逆に安定的な入居者の確保を難しくする可能性がある。

 一方、積水ハウス<1928>は、主力の賃貸住宅「プロヌーブ」や「ベレオ」において、単身女性向けだけでなく、子育て世帯の女性をターゲットに据え、設備のアイテムを用意するだけでなく日々の暮らしを楽しむための生活提案を展開している。

 同社では女性の視点を重視し、玄関でベビーカーなどをしまえる「シューズクローク」や、散らかりがちなリビングに便利な「リビングクローク」など、アイテムの提案も以前から行っているが、この生活提案では、おしゃれやこだわりのインテリアなどを取り入れ、女性が育児・家事にとらわれず、積極的に日々の暮らしや趣味を楽しむ賃貸住宅提案だ。例えば、子どもの様子を見ながらメイクがしやすい「メイクステーション」や、洋服やアクセサリーをショップ風に「見せる」ディスプレイが可能な専用棚、家族の写真や趣味の小物や雑貨などを飾って自由に演出できる「置きデコ」「壁デコ」コーナー、さらにはネイルサロンや手作り雑貨などの在宅プチショップスペースなど、既存の賃貸住宅ではなかった夢のある提案が面白い。また、デザインへの感度の高い女性に、分譲マンションにも劣らない高級感を訴求し、女性や子どもが安心して暮らせるオートロックによるセキュリティを備えた共用エントランス。また、上階からの衝撃音を約2分の1に低減するオリジナルの高遮音床システムで、階下へ騒音を軽減するなど、小さな子どもがいる世帯の心理的な負担を軽減している。

 賃貸住宅入居者の賃貸住宅のクオリティに対する要求レベルは高まり、家族構成やニーズも多様化している。これからの賃貸住宅には、居住者のライフスタイルや好みを見据えた提案や戸建住宅や分譲マンションにも引けを取らない快適性や高級感が求められる。市場を見極めた上で、女性目線も取り入れながら、入居者の要求を満たす魅力ある提案で差別化できるかどうかが、長期に安定した賃貸住宅経営を左右するキーワードになってくるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

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