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価格破壊が起こる? 日本の“航空機戦争”に海外も注目
2月11日から16日まで、シンガポールでアジア最大の航空ショーが開催中だ。これを踏まえ、海外メディアは、アジア太平洋地域で激化する航空機販売ビジネスを俯瞰する記事を掲載した。
日本では、JALやANAの大型機の発注をめぐって、米ボーイング社と、ヨーロッパに拠点を置くエアバス社のシェア争いが激化すると見られている。
【世界最大のアジア市場で繰り広げられるシェア争い】
CNNは、シンガポール航空ショーの会場から、エアバス社の躍進ぶりを伝えた。エアバスの最新鋭大型機が会場で最も注目を集めたほか、ベトナムの格安航空会社が11日、同社のA320(通路が一本の小型旅客機)63機の売買契約の調印式を行ったという。
現在、世界の航空機需要の約3分の1はアジア太平洋地域にあるとされる。また、地域の経済発展ととともに、各国に次々とに格安航空会社が誕生しており、今後も数十年単位で航空輸送の伸びが期待できる、とCNNは伝えている。
エアバス社は2032年までに、アジア太平洋地域で旅客・貨物機合わせて10,940機の需要を予測する。ライバルのボーイング社も今後20年間で12,820機・1.9兆ドルの商機があると見込む。両社とも、この地域を世界最大の最重要マーケットと位置づける。CNNは、将来的な受注数ではエアバス社に分があるものの、現時点での実供給ベースでは、ほぼイーブンな戦いになっていると報じている。
【日本ではボーイングの独占が崩れる】
一方、日本では「世界でも極めて例外的に」ボーイング社が圧倒的に強い。フィナンシャル・タイムズ紙(FT)は「ボーイングは1953年に東京にオフィスを開設して以来、マーケットを独占してきた」と、日本での地盤の強さを強調。一方で、JALなどに30年以上にわたって売り込みを続けてきたエアバス社は「負けることに慣れている」と表現する。
同紙は、日本でのボーイング社の圧倒的な強さの原因を、JALの黎明期にDC-6(当時太平洋を横断可能だった数少ない機種)を優先的に供給するなど、「一種の恩義を売ってきた」からだと分析する。また、「日本人は変化を嫌う」というエアバス・ジャパンのステファン・ジヌー社長のコメントも紹介している。
しかし、昨年10月、エアバスはついにJALから31機のA350の契約を勝ち取った。ブルームバーグは、これをボーイングの独占状態に風穴を空けた歴史的な出来事ととらえ、日本でも航空機戦争が始まる「最初の一歩だ」としている。この契約の前に起きたボーイング787「ドリームライナー」のバッテリートラブルとそれに伴う運航停止措置が大きく影響したという見方が支配的だ。
【ANAの発注をめぐる現在進行形の戦い】
さらに現在、ANAが予定している国際線用の大型旅客機の契約をめぐり、両者が火花を散らしている。ANAは現在所有する54機のボーイング777のうち、25機程度を更新する予定で、ボーイング社は開発中の777X(777の後継機)を、エアバス社は最新の大型機A350-1000を売り込んでいる。
ブルームバーグによると、ANAは今年10月には決断を下す。ボーイング社の幹部は777XはA350-1000よりも「飛躍的に先を行く」機体だと自信を見せるが、ANAとの契約については「我々にはアドバンテージがあるが、それは必ずしも勝利を保証するものではない」と慎重だ。
一方、エアバス・ジャパン社は、先のJALからの契約獲得に乗じて、2020年までに日本でのシェアを13%から25%に拡大することを目標に掲げた。
FT紙によると、ボーイング・ジャパンのジョージ・マフェオ社長は、エアバス社の目標達成は不可能に近いと、余裕を見せているという。これに対し、エアバス社のジヌー社長は「ボーイングは日本市場をプライベートな庭か何かだと思っているのだろう。そこに競争が持ち込まれることに苛立っているはずだ」と応戦する。同紙は、競争原理が持ち込まれることにより価格破壊が起き、今後は日本でも「買い手市場」になると分析している。
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※この記事はNewSphereより提供を受けて配信しています。
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