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拡大する磁気センサ市場、高感度MIセンサが拓く未来
愛知製鋼とロームが開発した超高感度MIセンサ。モバイル機器やAR(拡張現実)などと組み合わせることで、産業やレジャーなど多方面に渡って様々な可能性が広がる。[写真拡大]
2013年2月にセンサ分野事業で業務提携した愛知製鋼とロームが、主要テーマであった超高感度MI素子を8インチシリコンウエハープロセスで生産する量産技術を確立したと発表した。大量生産が可能になったことで、先行して市場に参入している愛知製鋼に次いで、ロームもスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末やウェアラブル端末、ゲーム機、カーナビなどの磁気センサ市場に新規参入する。
MIセンサは名古屋大学の毛利教授の世界的発明品であり、特殊なアモルファスワイヤを使用する次世代の超高感度磁気センサで、愛知製鋼が世界で初めて開発に成功したもの。従来の磁気センサ(ホール素子等)に比べて1万倍以上の高感度を持ち、地球磁気よりも磁場の弱い、生体磁気までも測定することが可能だという。IT化を加速する新技術として様々な分野への応用が世界中で期待されている。
たとえば、身近なところでは、モバイル機器向けの方位検出などがある。MIセンサを搭載した機器がアプリと連動すれば、子供たちの星座の学習などにも役立てられるほか、屋外でも今話題の拡張現実AR機能と組み合わせれば、様々な情報を楽しむ可能性が広がる。
他にも、オフィスでのプリンター・コピー機、大型ディスプレイ等への導入、視覚障害者誘導などの福祉分野、紙幣識別や磁気カード、産業用ロボット(FA機器)、医療機器、商品タグや防犯センサ、金属探知機などのセキュリティ関連分野、そしてアミューズメントにいたるまで、応用の幅は多岐に渡っており、これからの未来の生活をより豊かで便利なものにするために、MIセンサは欠かせない技術といえる。とくに今回、愛知製鋼とロームが開発・生産するMIセンサは、感度が非常に高いため、従来の磁気センサより少ないセンシング/演算回数でも高精度な検知が行えるうえに消費電力も抑えられるということで、期待が高まっている。
富士キメラ総研が先般まとめた「2012 センサデバイス/ソリューションビジネス市場調査総覧」によると、センサデバイスの世界市場は、2020年予測で4兆5,293億円となっており、2011年比で38.6%増が予測されている。また、各センサ市場別に、生体センサ、CMOSイメージセンサ、角速度センサ、RFIDセンサ、国内のセンサネットワークソリューション市場についても予測しているが、いずれも大幅な伸びが示されており、とくに生体センサは262.5パーセントとなっており、最も期待されている。近年になっても研究開発が進んだ分野であり、環境対策の一環として新興国での需要が拡大していることなどが理由として挙げられている。こういった分野でも、両社のセンサ技術が将来的には活かされる場になりえるであろう。
ロームでは、愛知製鋼からの受託生産のほか、自社ブランドによる生産も手がけていく。まずは11月からサンプル出荷として、スマートフォンやウェアラブル端末などへの電子コンパス用途で提案を開始し、2014年秋にはローム・アポロの行橋工場で月産100万個体制での生産を開始し、2017年にはこれを2000万個に拡大する計画を明らかにしている。(編集担当:藤原伊織)
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※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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