報道機関の政治部が政局部と揶揄されるわけ

2013年8月10日 22:36

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記事提供元:エコノミックニュース

 自民党の石破茂幹事長が自身のブログでマスコミ各社に「(記者の担当期間が)大臣の在任期間よりも短いのが通例」で番記者の異動が早すぎるために、「(報道が)事の本質より、現象面・事象面に偏りがちになる」と本質を捉えた報道をするためにも記者の社内異動にそうした面を考慮した異動が必要ではないかと間接的に注文をつけた。

 石破幹事長は担当記者の異動が早いのは記者の責任でなく「報道各社の姿勢そのものの問題であるように思われてならない」との思いを綴っているが、短期での異動の結果、「報道が現象面、事象面に偏りがちで、政治部でなく政局部だと揶揄される」結果を招いていると指摘。

 報道される側からすると「もっと勉強してから報道してくれと言いたくもなる」と嘆きとも受け取れるが、本質を捉えた報道をするためには一定期間はその担当部署で記者活動をしないとできないだろうから、その期間を担当記者に与えるべきだろうとの提案とも受け取れる内容になっている。

 実際、同じ記者クラブに2年以上いるケースは少なく、早ければ半年で異動するケースもある。担当部署の状況把握が十分できないままに、現象面の事実関係把握だけで記事にしなければならないケースも否定できないことを踏まえれば、最低2年は同じ部署で担当させることも良質な記事発信になる可能性が高いといえよう。

 石破幹事長は「(担当記者のこうした状況を)よく認識しながら、憲法改正や集団的自衛権の行使容認に限らず、諸懸案(消費税・社会保障・TPP・農政改革・原発再稼動など)の解決にあたって真摯に、かつ周到に運んでいかなくてはいけない」と対応を考える姿勢を見せている。記者の側からすれば、情報操作されない洞察力と分析力、情報収集能力が一層求められる。(編集担当:森高龍二)

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