三菱重工、次世代型LNG運搬船「さやえんどう」を受注 豪LNGプロジェクト向け

2013年6月5日 10:58

印刷

次世代型LNG運搬船「さやえんどう」(画像:三菱重工業)

次世代型LNG運搬船「さやえんどう」(画像:三菱重工業)[写真拡大]

 三菱重工業は4日、国際石油開発帝石(INPEX)が主導するオーストラリアのイクシスLNG(液化天然ガス)プロジェクトからINPEXが調達するLNGの輸送向けに、次世代型LNG運搬船を受注したと発表した。

 今回、燃費やメンテナンス性を大幅に改善した三菱重工独自の「さやえんどう」船型が採用された。完成・引き渡しは2016年末で、川崎汽船とINPEXの子会社による共同出資会社オーシャン・ブリーズ・LNG・トランスポート社が保有する。同船型の受注は今年5月に次ぐもので、累計受注は今回で7隻となった。

 同LNG船は、長さ288.0m、幅48.94m、満水喫水11.5m、総トン数13万8,000トン(載貨重量トン数7万5,000トン)で、航海速力は19.5ノット。タンク総容積15万5,300m3(LNG積載可能量は15万3,000m3)で、長崎造船所で建造する。

 さやえんどう船型は、球形タンク4基を船体と一体構造の連続タンクカバーで覆うことにより、船全体の強度を確保しながら軽量化を実現し、さらに航行中の空気抵抗を大幅に軽減する。また、主機関には、蒸気を再度加熱利用することで熱エネルギー効率を高めたMHI Ultra Steam Turbine Plant(UST:再熱舶用推進蒸気タービン)を採用。燃費は従来船と比べ20%以上の改善が可能。

 連続タンクカバーの採用で、タンク頂上で配管、電線、通路を支える構造物が不要になるため、メンテナンス性が大きく向上。また、燃費改善によるCO2排出量の抑制に加え、バラスト水処理装置の搭載による海洋生態系への影響軽減など、環境対応力も高める。

 さやえんどう船型は、高い省エネ・環境性能により海運業界で高い関心を集め、2011年10月の2隻同時受注を皮切りに受注実績が順調に伸びており、日本の造船業界で開発が活発化しているエコシップをリードする製品に育っている。

関連記事