関連記事
将来を期待されるスマートハウスとは
先日、矢野経済研究所が発表した調査資料によると、スマートハウスに不可欠な「HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)」市場は2020年度には10年度比74倍の260億円に拡大が予測されている。
スマートハウス元年と呼ばれた昨年、東日本大震災での深刻なエネルギー不足問題もあり、消費者の省エネ・創エネ・畜エネに対する関心も高くなった。12年はそのスマートハウスが一般的に認知され、関連業界も含め住宅市場の活性化に繋がるとの期待が関係者の間でも大きい。
11年に大手住宅メーカーを中心に発売されたスマートハウスだが、現在、中堅なども含め、シェア争いが徐々に激しくなろうとしている。経済産業省でもHEMS導入事業(エネルギー管理システム導入促進事業費補助金)を積極的に展開しており、関連業界にも追い風が吹こうとしている。
しかし、このスマートハウス。消費者は一体どんな種類があり、価格帯はどのようになっているのかをどのくらい知っているのだろう。
CMなどで"スマートハウス"という名称を初めて耳にし、「太陽光発電システムを搭載しているから、省エネできる家なのかな」と何となく思っている人が実際には多いのではないか。
大手住宅メーカーから販売されているスマートハウスは、創エネ・畜エネ設備の充実などもあり、比較的高価格帯のものが多い。太陽光発電システムに家庭用燃料電池、蓄電池を備えたハイスペックなものだ。例えば、初めて業界でスマートハウスを商品化した大和ハウスの「スマ・エコ・オリジナル」や住友林業の「スマート ソラボ」など各社とも基本的なエネルギー関連設備の性能に大差はない。またHEMSも標準のインターフェースが規格統一され、多くのメーカーが参入しているものの、家庭内の電力を無駄なく最適な状態に制御するという、本来の目的とされている機能(現在はまだ対応家電製品がほとんどないので将来的に)はどの機種にもある。従って、大手のブランド力や豊富な商品群などが競うポイントとなる。
一方、中堅メーカーや地域工務店などは、大手では実現できない低価格帯という武器や個性的な特徴を押し出すことで、市場での勝負をしている。
例えば、アキュラホームは長期優良エコ住宅「めぐる」をベースとしたスマートハウスを販売、非常用水や打ち水に使用できる井戸掘り工事を付加するなど、個性的な住宅を企画している。
このように、基本性能としては驚くほどの違いはなく、むしろ販売戦略での競争が各社の売上を左右すると言っても過言ではないスマートハウスの市場。消費者がエネルギー問題に関心を高く持っているこの時期に、官民一体となった"スマートハウス"そのものの啓蒙活動をもっと行ってもいいのではないだろうか。そうすれば、市場はもっと活性化し、予想を上回る普及の可能性も高くなると思えるのだが。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク