ソニー、新興国で事業拡大 メディカルや4K関連など新規事業も創出

2012年4月12日 19:08

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 ソニーは12日、2012年4月1日付で発足した新経営体制の下での経営方針を発表した。その中でソニーは、同社の持つ強いアセットであるグローバルな事業展開とブランド力を、成長著しい新興国(日本・北米・欧州を除く地域)での販売の拡大に確実に結びつけていくと表明している。

 ソニーは現在、インドやメキシコなどの民生用AV/IT市場においてトップシェアを獲得するなど、既に新興国での強い基盤を有している。今後も新興国市場でのプレゼンスを高めるべく、販売・マーケティングのリソースを集中し、販売オペレーションのさらなる強化、地域ニーズに合った商品の投入、映画・音楽・テレビネットワークなどソニーグループのエンタテインメント資産を活用した販売促進を積極的に展開するという。

 新興国におけるエレクトロニクス事業の売上高は2011年度には1兆8,000億円だったが、これを2014年度には2兆6,000億円に引き上げる。民生用AV/IT製品については、新興国での売上高が、2014年度に全世界の60%まで拡大することを目指す。

 また、ソニーは、中長期の成長を目的としたイノベーションの加速、及び商品の本質的価値を追求するための差異化技術の強化を積極的に推進していくという。中長期の成長をめざす具体的な事業領域の例として、「メディカル事業と4K関連事業がある」としている。

 新規事業領域であるメディカル事業については、既に参入済みの医療用プリンターやモニター、カメラ、レコーダーなどの医療周辺機器事業で2014年度に売上高500億円を目指す。加えて、ソニーの強みであるデジタルイメージングの各種要素技術を活用した内視鏡などの医療機器向けビジネスや、半導体レーザー、イメージセンサー、微細加工などの技術を活用できるライフサイエンス事業にも参入していく方針。ライフサイエンス事業の領域では、細胞分析機器メーカーiCyt社や医療検査・診断機器開発メーカーのMicronics社を既に買収しているが、これ以外にも、メディカル事業のさらなる展開に必要であり、ソニー自身の強みとも合致する領域でのM&Aを積極的に行い、将来のソニーの事業の柱の1つに育成していくという。

 また、ソニーの持つオーディオ・ビジュアルの技術を結集して、フルHDの4倍以上の解像度を持つ“4K”の普及にも積極的に取り組んでいく。イメージセンサーや信号処理画像圧縮LSI、高速光伝送モジュールなどの独自開発のデバイスを搭載した業務用機器及び民生用ハイエンド製品を皮切りに、順次4K対応の製品群を追加・拡充していく。

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