メタンハイドレート海洋産出試験でトラブル発生、無人探査機のケーブルが切断

2012年3月13日 18:43

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作業海域図(画像:JOGMEC)

作業海域図(画像:JOGMEC)[写真拡大]

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は12日、第二渥美海丘(渥美半島~志摩半島の沖合)で実施しているメタンハイドレート海洋産出試験の事前掘削作業において、3月11日に遠隔操作無人探査機(ROV)のケーブルが、海底での作業中に切断するトラブルが発生したと発表した。ROVは船上からの遠隔操作でテレビカメラによる海底観察やロボットアームによる試料採取を実施するもので、同ROVは、掘削井の坑口付近の作業を監視するために調達したものだという。

 JOGMECによると、今回のトラブルに関しては、人的被害が無いことが確認されたという。また、原因については、「現在、調査中」としている。なお、事前掘削作業の継続にはROVが不可欠なこと、ROVの回収・復旧には時間を要するため、予定期間内での事前掘削作業の遂行が今後難しくなることなどを考慮し、JOGMECは急遽ROVを搭載しているJOGMEC所有の海洋資源調査船「白嶺」を作業海域に派遣するという。「白嶺」は3月13日頃には到着の見込みだという。

 今回のメタンハイドレート海洋産出試験の作業期間は2年にわたり、2012年2月から3月にかけて、事前掘削として生産井やモニタリング井の坑井掘削を行い、2013年の1月から3月の期間内(予定)に、産出試験(フローテスト)を計画している。

 今回の産出試験は、商業生産ではなく、調査段階の試験作業となるが、減圧法による海底面下のメタンハイドレートの生産状況や地層の変化の把握など、将来のメタンハイドレートの実用化に向けた貴重なデータが得られることから、メタンハイドレートの資源開発研究にとって大きな前進となることが期待されている。試験の成果を活用して、今後の第2回の海洋産出試験の計画や、将来の商業生産に向けた技術基盤の整備(フェーズ3:2016~2018年度を予定)を進めていく予定となっている。


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