村田製作所:世界初、負のインダクタンスによりコンデンサのESLを打ち消す電子部品Lキャンセルトランスを開発
配信日時: 2024-05-14 12:00:00
![村田製作所:世界初、負のインダクタンスによりコンデンサのESLを打ち消す電子部品Lキャンセルトランスを開発 村田製作所:世界初、負のインダクタンスによりコンデンサのESLを打ち消す電子部品Lキャンセルトランスを開発](/files/press/2024051415150160bw_logo.jpg)
~より少ないコンデンサでノイズを抑制し、設計の簡素化に貢献~世界初の負の相互インダクタンスを活用した電源回路用ノイズ対策製品
省スペース化に貢献
安定した電源ノイズ除去性能を実現
(京都)- (ビジネスワイヤ) -- 株式会社村田製作所(東京:6981)(以下、「当社」)は、世界初※1の負の相互インダクタンス※2を活用し、数MHzから1GHzまでの高調波※3領域の電源ノイズ対策が可能なLキャンセルトランス「LXLC21シリーズ」(以下、「当製品」)を開発しました。
本プレスリリースではマルチメディアを使用しています。リリースの全文はこちらをご覧ください。:https://www.businesswire.com/news/home/20240513207187/ja/【株式会社村田製作所】Lキャンセルトランス(写真:ビジネスワイヤ)
電源回路に当製品を1個組み込むだけで、当製品に接続されたコンデンサのESL※4を打ち消し、コンデンサのノイズ除去性能を高めることができます。そのため、これまでよりも少ないコンデンサの員数でノイズを抑制することが可能となり、電子機器の小型化・高機能化に貢献します。当製品はすでに量産を開始しており、サンプル提供も可能です。
近年、電子機器の小型化・高機能化に伴い、基板回路の高密度化と使用されるICの員数が増えています。しかし、これによりICから発生するスイッチング電源のノイズがケーブルや基板配線を通じて伝播したり、空中に不要な電磁波として放射されてしまうため、周囲の電子機器の誤動作や機能低下を引き起こす可能性があります。安全・安心・快適な電子機器の利用環境を実現するため、スイッチング電源※5のノイズ対策が求められています。
一般的な電源ノイズ対策は、電源ノイズの伝播経路となる電源線とグランドの間にコンデンサを配置する方法で、ノイズをグランドに逃がします。この対策方法のノイズ除去性能は、使用するコンデンサのインピーダンスが低いほど高まります。しかし、高調波領域においては、コンデンサ内にあるESLと呼ばれるインダクタとして働く寄生成分があり、インピーダンスが高くなるため、ノイズ除去性能が低下してしまいます。このことから、高い信頼性が求められる機器では、高調波領域でのノイズ除去効果を高めるために、複数のコンデンサを並列接続してインピーダンスを低減させていました。しかしながら、複数のコンデンサを並列接続するためのスペースを設ける必要があるため、電子機器の小型化における課題となっていました。
そこで当社は、独自の素子設計技術とセラミック多層技術により、世界で初めて負のインダクタンスを活用し、コンデンサ内部にあるインダクタンスと基板内に発生するインダクタンスを相殺する電源ノイズ対策部品の当製品を開発しました。当製品1個を組み込むことで、これまでよりも少ないコンデンサの員数でノイズを抑制することが可能となり、システム全体の省スペース化に貢献します。
当社は今後も市場のニーズに対応した電源ノイズ対策部品の開発に取り組み、電子機器の小型化・高機能化に貢献していきます。
主な特長
世界初の負の相互インダクタンスを活用した電源回路用ノイズ対策製品
トランス技術を活用して負の相互インダクタンスを生み出し、ノイズ対策用コンデンサや電源線とグランドの間の配線に寄生するインダクタンス成分を相殺します。これにより、数MHz帯から1GHzまでの高調波領域の電源ノイズ対策が可能です。省スペース化に貢献
部品点数の抑制による省スペース化と信頼性の向上に貢献します。安定した電源ノイズ除去性能を実現
非磁性体であるため直流重畳特性※6がなく、電流変化に対して安定したノイズ除去が可能です。主な仕様
サイズ
2.0×1.25×0.95mm(2012サイズ)
負のインダクタンス
0.9nH(Typ.)
定格電流
3.0A(Max.)
直流抵抗(DCR)
55mΩ(Max.)
使用温度範囲
-55~125℃
その他
AEC-Q200※7準拠
主な用途
下記用途の電源回路
基地局やFAシステム関連などの産業機器インフォテインメントなどの車載機器デジタル家電やPCなどの民生機器医療機器注釈
※1 当社調べ。2024年5月13日時点。
※2 相互インダクタンス:隣接配置した磁気的に結合した2つのインダクタにおいて、片側での電流の変化によって他方側で発生する誘導起電力の変化のことを指す。磁気的に結合した2つのインダクタを直列につなぐと、つないだ部分に等価的にインダクタンスが発生し、これを相互インダクタンスと呼ぶ。
※3 高調波:信号自体の周波数に沿った基本波の整数倍の周波数を持つ信号(一般的にはノイズ)のこと。
※4 ESL(Equivalent Series L):等価直列インダクタンス。ESLが大きくなると、高調波領域でのインピーダンスが高まる。
※5 スイッチング電源:半導体で電流を断続させることで電圧の変換を行う回路のこと。
※6 直流重畳特性:直流電流を加えたとき、コアの磁気飽和により、一般にインダクタンス値が減少する。この特性のことを直流重畳特性と呼ぶ。
※7 AEC-Q200:Automobile Electronics Council(車載電子部品評議会)が定める受動部品(コンデンサ・インダクタ等)向けの業界標準。
製品サイト
当製品の詳細はこちらをご覧ください。
お問い合わせ
当製品のお問い合わせはこちら。
businesswire.comでソースバージョンを見る:https://www.businesswire.com/news/home/20240513207187/ja/
連絡先
株式会社村田製作所
広報部 坪井 啓祐
prsec_mmc@murata.com
プレスリリース情報提供元:ビジネスワイヤ
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