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ポルシェ、電動「718」は2027年登場へ エントリースポーツに18カ月超の空白

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ポルシェのCEOであるマイケル・ライターズ氏は、718ボクスターおよびケイマンの後継となる電気自動車(EV)を2027年に生産開始する方針を正式に認めた。これにより、同ブランドのエントリーレベル・スポーツカーを待つ購入希望者を宙に浮かせていた、数カ月にわたる不確実な状況に終止符が打たれた。内燃機関モデルの生産はすでに終了しており、911の米国でのベース価格である13万7,850ドル(約2,178万円、1ドル=158円換算)を下回る新型ポルシェ・スポーツカーの登場は、早くても2027年後半となる見通しだ。
■911より安価なポルシェ製スポーツカー、少なくとも18カ月の空白
ドイツ紙Frankfurter Allgemeine Zeitung(FAZ)が今週掲載したインタビューで、CEOのマイケル・ライターズ氏は、完全電動となる718の両モデルが現在も開発中で、2027年の生産開始に向けて計画どおり進んでいると確認した。911の米国でのベース価格である13万7,850ドル(約2,178万円、1ドル=158円換算)を下回る新しいポルシェ・スポーツカーを待っていた人々にとって、待ち時間の終わりが見えることになる。ただし、それは早くても2027年後半だ。
ライターズ氏は同紙に対し、「電動718については、このモデルを製造するとの結論に達しました。経済的に最善の解決策であり、素晴らしい車になるからです」と語った。この発言により、2月以来続いていた疑問に一つの答えが示された。Bloombergは同月、関係者の話として、コスト上昇と度重なる遅延を受け、ライターズ氏が電動718の開発計画そのものを打ち切るかどうか検討していると報じていた。
この確認が特に重要なのは、現在、選べるモデルがない購入希望者だ。ポルシェは電動化への移行に備え、2025年10月に内燃機関を搭載した718ボクスターおよびケイマンの生産を終了した。生産終了を迎えた2025年にも両モデルは合計1万8,612台を納車し、2024年からの減少率は21%にとどまった。それ以降、ポルシェは911より下位に位置するスポーツカーを生産していない。電動718は2027年に生産が始まり、納車は同年後半までに開始されると見込まれているため、最後の内燃機関モデルから最初のEVモデルまで、少なくとも18カ月、おそらくはそれ以上の空白期間が生じることになる。
エントリーレベルのスポーツカーが、初めてポルシェを購入する顧客にとって主要な入り口となってきた同ブランドにとって、この空白期間は異例の長さだ。内燃機関版の718は911より大幅に安価だったが、電動718も同様の価格差を維持する可能性は極めて低い。価格は公表されていないものの、この性能帯におけるEV技術のコストと、ポルシェが現在直面する収益性への圧力を考えれば、電動ボクスターとケイマンが従来モデルより高い価格で登場することは、ほぼ確実とみられる。
■電動718の構造:座席後方にバッテリーを配置
電動718の開発にこれほど時間がかかり、電動マカンやタイカンにはなかった課題に直面した理由は、一つの技術的問題に行き着く。バッテリーパックを搭載しながら、どのようにミッドエンジン型スポーツカーの特性を実現するかという問題だ。
一般的なEVプラットフォームは、バッテリーパックを乗員空間の下、前後の車軸の間に平らに搭載する「スケートボード」構造を採用している。このレイアウトでは着座位置が高くなる一方、重量を低い位置の中央付近に集中させられる。クロスオーバーやタイカンのような高性能セダンには適しているが、2シーター・スポーツカー特有の低い着座位置とは両立しにくい。
ドライバーが地面に近い位置に座り、一般的なロードカーよりレーシングカーに近い低重心を実現するという718の特徴を維持するため、ポルシェはPremium Platform Electricの派生型である「PPE Sport」を開発した。このプラットフォームでは、バッテリーパックを床下ではなく、乗員席の後方にミッドシップ配置する。
これは小規模なパッケージ変更ではない。電動マカンや今後登場するカイエン・エレクトリックが採用する標準型PPEでは、バッテリーがシャシーの構造材として荷重を支える役割も担う。単なるセルの箱ではなく、影響を伴わず別の場所へ移せるものではない。
PPE Sportの開発では、後方に置かれたバッテリーを前提として、シャシーの荷重を支える構造全体を再設計する必要があった。また、コンパクトな2シーター・スポーツカーには大型バッテリーを収容する空間がないため、極めてエネルギー密度の高いセルも必要になった。
後者の制約こそ、Northvoltの経営破綻が電動718に大きな打撃を与えた理由だ。電動マカンがドイツで製造されたCATL製セルを使用する一方、ポルシェは718について単一調達先に依存する戦略を採り、コンパクトなプラットフォームに必要なエネルギー密度を備えたNorthvolt製セルだけに頼っていた。
Northvoltが2025年11月に米国で連邦破産法第11条の適用を申請し、その後スウェーデンで倒産手続きに入ると、同社の資産は米国企業Lytenに買収された。しかし、ポルシェがNorthvoltを中心に構築していたバッテリー供給網は深刻な混乱に陥った。ドイツのキルヒハルトに新設する施設で718用バッテリーパックの組み立てを請け負っていたフィンランドのValmet Automotiveも、遅延が重なった後にプロジェクトから撤退した。
ポルシェは代替サプライヤーを公表していない。この点は注目に値する。ライターズ氏が2027年に同車を生産すると確認したことは、ポルシェが回答を公表していないとしても、供給網の問題については社内で解決策が用意されたことを示唆している。
■アウディTT後継モデルとの関係が開発継続を後押し
ライターズ氏による事業性の検討が開発継続という結論に傾いた背景には、あまり前面に出てこないもう一つの理由がある。PPE Sportを使用するのはポルシェだけではないからだ。
アウディも同じプラットフォームを使い、TTの電動後継車となる「Concept C」の市販版を並行して開発している。社内では「C-Sport」と呼ばれているモデルだ。アウディCEOのゲルノート・ドゥルナー氏は2026年4月、C-Sportがネッカーズルムでの2027年の生産開始に向けて計画どおり進んでおり、ポルシェからのプラットフォーム供給についても、同氏の言葉では「問題になっていない」と確認した。
この2シーターEVは全長約4,350mmで、前後にモーターを搭載するデュアルモーター構成を採用し、バッテリーを後輪車軸の前方に配置することでミッドエンジン車のような走行特性を目指す。アウディが単独で開発費を負担するのが難しいスポーツカー用プラットフォームに対し、同社が大きく関与していることを示すモデルでもある。
ライターズ氏はFAZのインタビューで、電動718を開発するとの決定は、まずポルシェ単独の事業として妥当性を評価し、その後にVWグループ内の相乗効果を考慮して下されたものだと明言した。
しかし、置かれていた状況も明白だ。ポルシェが718を中止すれば、ドゥルナー氏がすでに公の場で投入を約束し、アウディが設計資源を投じてきたモデルから、プラットフォームを共同開発するパートナーが失われることになる。この相互依存関係は、消費者需要の見通しとは別に、718の事業を存続させる構造的な理由となっている。
アウディC-Sportは、ポルシェ718よりわずかに低い価格帯に位置付けられると予想されている。これは意図的なものだ。両車は同じプラットフォームを共有するものの、プレミアムEVスポーツカー市場の中で、やや異なる購入層を対象としている。
■未確定要素:スペック、バッテリー、内燃機関のRSモデル
ポルシェは、電動718の出力、航続距離、充電システム、最終的な価格について、ほとんど明らかにしていない。ニュルブルクリンクや公道では軽いカムフラージュを施した試作車が目撃されており、外観は従来モデルから大幅に変わるのではなく、その進化形になることを示唆している。2026年末までに車両が公開され、生産開始と最初の納車が2027年に続くと予想されている。
ライターズ氏のFAZインタビューで触れられなかった要素の一つが、計画されている高性能な内燃機関搭載RSモデルの状況だ。ポルシェは2025年、次世代718の最上位モデルとなるケイマンGT4、GT4 RS、スパイダーRSの後継車について、内燃機関を維持する方針を発表した。
しかし、これらのモデルを実現するには、EV専用のPPE Sportを従来型のミッドエンジン・パワートレインに対応させるよう、大幅に設計し直さなければならない。EV専用プラットフォームでは意図的に省かれたセンタートンネルを加え、燃料タンクの設置場所と排気経路を確保すると同時に、現在はバッテリーが担っているシャシーのねじり剛性を別の構造で再構築する必要がある。
この開発は電動718と並行して進められているが、完成は早くても2028年または2029年になる見通しだ。一方、ドイツ紙Bildは2026年7月、VWグループが内燃機関を搭載する718派生モデルを全面的に中止するかどうか検討していると報じた。ライターズ氏はFAZのインタビューでこの報道に言及しておらず、内燃機関搭載RSモデルの将来は正式には未確定のままだ。
■形成されつつある競合環境
今回の確認は、電動プレミアムスポーツカー市場で、初めて本格的な競争環境が形成され始めた時期にもたらされた。
技術面で最も近い競合車となるのは、アルピーヌの次世代A110だろう。同車は2027年初頭の納車開始を前に、2026年後半までに市販モデルが公開されると予想されている。電動A110は、この性能帯のEVとしては軽量な約1,400kgを目標とし、車室後方にバッテリーを搭載する。PPE Sportと似た考え方の構造だ。
アルピーヌCEOのフィリップ・クリエフ氏は、A110のEVモデルについて、ニュルブルクリンクでポルシェ718と競える性能を目標にすると公言している。アルピーヌの米国戦略はクロスオーバーを中心としているため、A110がスポーツカーとして米国市場に投入されるとは予想されていない。それでも、欧州とオーストラリアでは、電動718を評価するうえで重要な比較対象になる。
これより上の価格帯に連なるモデルとしては、同じプラットフォームを使うアウディC-Sportが登場する。一方、MG Cybersterは異なる性能上の優先順位を持ち、より低い価格帯を対象としている。全体として、電動718が参入する市場は小規模ながら形成されつつあり、ポルシェが最初に市場へ到達する保証はなくなっている。
米国の購入希望者にとって、選択肢は特に少ない。アルピーヌはA110を米国のショールームへ投入する予定がなく、アウディC-Sportについても米国での発売計画は確認されていない。このため現時点では、電動ボクスターとケイマンが発売された際、米国で購入できる唯一のプレミアム電動ミッドシップ・スポーツカーになる可能性が高い。
■ポルシェの財務危機との関連
718が中止寸前まで追い込まれたことは、ポルシェが置かれた財務状況と切り離して考えることはできない。同社は2025年、営業利益が93%減少したと報告した。中国での販売が4年連続で悪化したことに加え、EV戦略の見直しと米国の関税による影響に関連して、約39億ユーロの特別費用を計上したためだ。
こうした状況により、ライターズ氏は主要な開発計画を一つずつ見直す必要に迫られ、電動718の採算性も社内で本格的な検討対象となった。
今週のライターズ氏の発言は、電動718の事業計画がポルシェの設定した基準を満たしたことを示唆している。ただし、具体的な内容は公表されていない。ポルシェはNorthvoltに代わるバッテリー供給元を明らかにしておらず、電動718の生産拠点も発表していない。開発継続を正当化するために必要な財務目標も公表されていない。
これらは、2026年10月7日に予定されているポルシェのキャピタル・マーケッツ・デーで明らかになる可能性がある。同イベントでは、ライターズ氏が投資家に向けて「Strategy 2035」の全体像を示すと見込まれている。
■注目ポイントQ&A
●電動ポルシェ718ボクスターとケイマンはいつ購入できるようになりますか?
生産は2027年に始まることが確認されています。CEOのマイケル・ライターズ氏が、2026年8月上旬にFrankfurter Allgemeine Zeitungのインタビューで明らかにしました。購入者への納車は2027年後半までに始まると予想されていますが、正式な日程は決まっていません。車両自体もまだ正式には公開されていません。ニュルブルクリンクで試作車の開発が進んでいることから、自動車メディアでは2026年末までの一般公開が広く予想されています。
●電動718の開発に時間がかかり、中止も検討されたのはなぜですか?
二つの問題が重なったためです。コンパクトな2シーターボディーには大型バッテリーを収容する空間が少なく、PPE Sportには極めてエネルギー密度の高いバッテリーセルが必要でした。このためポルシェは、Northvoltを唯一の供給元として同社に依存していました。
Northvoltが2025年11月に経営破綻したことで、その供給網は機能しなくなり、代替サプライヤーも公表されていません。同時に、新たにCEOへ就任したマイケル・ライターズ氏は、存続が危ぶまれていた開発計画を引き継ぎ、計画そのものの中止も検討したと報じられています。
状況は深刻で、アウディCEOのゲルノート・ドゥルナー氏は、ポルシェがどのような決定を下しても、同じPPE Sportを使うアウディC-Sportの計画は予定どおり進んでいると従業員に伝える社内書簡を送る必要があると判断したほどでした。供給網の混乱については、Electriveも2026年3月に詳しく報じています。
●電動718のバッテリーは、小型スポーツカーのどこに搭載されるのですか?
ポルシェは、Premium Platform Electricの専用派生型である「PPE Sport」を開発しました。一般的なEVのようにバッテリーパックを床下へ置くのではなく、乗員席の後方にミッドシップ配置します。これにより、718の特徴である低い着座位置を維持できます。
一方で、構造面の課題が生じます。バッテリーパックがシャシーの荷重を支える構造材として機能するため、計画されているRSモデル向けに同じプラットフォームへ内燃機関を組み込むには、バッテリーに頼らず車体のねじり剛性を確保できる構造を一から構築し直さなければなりません。内燃機関搭載RSモデルの登場は、早くても2028年または2029年になると見込まれています。
●次世代718にガソリンエンジン搭載モデルは登場しますか?
ポルシェは2025年、ケイマンGT4、GT4 RS、スパイダーRSの後継となる最上位RSモデルに内燃機関を残す方針を発表しました。しかし、これらのモデルを実現するには、EV専用のPPE Sportを大幅に設計し直す必要があり、登場は早くても2028年または2029年になると予想されています。
2027年の生産開始が確認されているボクスターとケイマンは、いずれも完全な電気自動車です。一方、ドイツ紙Bildは2026年7月、VWグループが内燃機関搭載モデルを全面的に中止するかどうか検討していると報じました。ライターズ氏はFAZのインタビューでこの問題に触れておらず、内燃機関搭載RSモデルの将来は不確実なままです。
元記事: Porsche CEO Confirms Electric 718 for 2027; No New Sports Car Until Late Next Year
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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