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地政学リスクが分散化する世界 米外交と原油相場が揺らす日本株
中東地域における緊張緩和の兆しが、グローバルな投資家心理を急速に改善させている。
これを受けて日本の株式市場は大幅な上昇を見せているが、イラン紛争の終息観測という「好材料」の裏で、米トランプ政権が中間選挙を睨んで打ち出したラウル・カストロ元議長の起訴など、キューバへの強硬姿勢という「新たな地政学リスク」が浮上してきた。
混迷を極める国際情勢の中で、日本の株式市場に臨む投資家が持つべき主要な視点について分析する。
■業種間の「明暗」と全体相場の押し上げ
イランとの停戦合意期待に伴う原油価格の急落は、日本市場のセクター動向を一変させている。
原油安がダイレクトにコスト削減につながる航空大手のANAホールディングス(コード:9202)や、燃料費負担が軽減される東京電力ホールディングス(コード:9501)などの電力・エネルギー消費型セクターには、値幅を伴った買いが流入している。
一方で、これまで資源高の恩恵を享受していたINPEX(コード:1605)などの資源開発関連株や総合商社株には利益確定売りが急がれており、物色の二極化が鮮明である。
インフレ懸念の後退による米国株の上昇が日本市場全体の地合いを押し上げているものの、足元では急ピッチな上昇に対する警戒感も根強い状況にある。
■トランプ外交に振り回される「ボラティリティ」
現在の相場環境を紐解く上で不可欠なのは、トランプ米政権による「選挙ファースト」の外交ディールがもたらす不確実性(ボラティリティ)への理解である。
イランとの紛争終結を模索する動きは、経済の安定化を演出し、有権者の最大の関心事である物価高(インフレ)を抑え込むための現実的な政策と言える。
しかしその一方で、共産主義国であるキューバへの強硬姿勢を強める動機は、フロリダ州など中間選挙の激戦州における保守派・キューバ系移民の票を固めるための政治的パフォーマンスの側面が強いと考えられる。
つまり一方の緊張が和らげば、別の地域で意図的に緊張を作り出すというトランプ政権特有の「マッチ&ポンプ型」の外交戦略に、日本の株式市場も構造的に振り回されやすい環境にある。
■注視すべき2つのシナリオと防衛の視点
今後の日本株の動向を占う上で、投資家は「マクロ経済の正常化」と「カリブ海リスクの顕在化」という相反する2つの視点を併せ持つ必要がある。
主要なシナリオとして、キューバへの圧力が口頭の威嚇(ブラフ)に留まり、イランとの停戦が正式に合意されれば、原油価格は一段と安定する。これは日本の内需株や製造業にとって企業業績の追い風となり、日経平均株価のさらなる高値追いを支える要因となる。
だがリスクシナリオとして、トランプ政権がキューバに対する事実上の海上封鎖をさらに強化し、経済的締め付けを極限まで高めた場合、カリブ海地域の緊張感は一気に高まる。その場合、原油相場が再び乱高下するだけでなく、サプライチェーンの混乱を警戒したリスク回避の売りが広がる可能性が高い。
こうした局面では、有事の買いが入りやすい三菱重工業(コード:7011)などの防衛関連銘柄への資金シフトや、ディフェンシブセクターへの下値支持力を検証する姿勢が極めて重要となる。(記事:今福雅彦・記事一覧を見る)
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