円安でも上がらない日経平均、関税という新リスク

2026年4月11日 11:40

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 円安は続いている。だが米国による関税が、その恩恵を打ち消しつつある。2月24日に発動された通商法122条による全世界一律10%関税は、その後15%への引き上げが示唆されており、輸出企業の対米収益に直撃する構造問題だ。

【こちらも】日経平均、6万円か崩壊か 金利差が示す「3つの未来」

 以前論じた「金利差->円安->株高」のシナリオは、関税という新変数によって上書きされた。現在5万円台中盤で推移する日経平均の重心は、下にある。

 2026年2月20日、米連邦最高裁はIEEPAに基づくトランプ関税を6対3で違憲と判断した。しかしトランプ大統領は即日、通商法122条を根拠に新たな10%関税を発動。その翌日にはSNSで15%への引き上げを示唆した。

 同条は過去に一度も使われたことのない条文で、発動に省庁の調査期間を必要としない即効性が特徴だ。自動車・鉄鋼・アルミへの232条関税も継続中で、日本向けの実質的な関税負担は変わっていない。

 問題は7月だ。122条の期限は150日間、2026年7月24日に切れる。その後トランプ政権が通商法301条の調査を完了させ、15%以上の恒久関税へ移行するシナリオは十分に現実的だ。

 野村証券は日本企業の営業利益がすでに3%前後押し下げられていると試算。NRIは関税が縮小・撤廃された場合に日本の実質GDPが年間0.375%押し上げられると試算しており、裏を返せば関税が恒久化されればその分の成長が丸ごと失われる計算となる。

■ 3つのシナリオ

●【ブル】関税継続でも円安が加速、5万円台後半を維持

 関税は継続するものの、日米金利差が拡大し円安がさらに進むシナリオ。1ドル160円台まで円安が進めば、輸出企業は関税コストをある程度吸収できる。関税負担を価格転嫁できた企業から業績の底打ちが確認されれば、日経平均は現水準から5万円台後半を維持する展開も見込める。

●【ベース】301条で15%前後に恒久化、4~5万円台で膠着

 7月以降に301条調査を経て関税が15%前後で恒久化されるシナリオ。最も可能性が高い。企業収益への下押し圧力は続き、設備投資や採用計画への影響が広がる。円安効果で全面崩壊は免れるが、日経平均は方向感を欠いたまま膠着する。機関投資家の積極買いは入りにくく、上値は重い。

●【ベア】20%超の関税に円高が重なり、3万円台も視野

 301条による20%超の恒久関税が発動され、さらに景気後退懸念からリスクオフの円高が進むシナリオ。関税コストと円高の二重苦が輸出主力セクターを直撃し、自動車・電機が総崩れとなれば日経平均は昨年4月に記録した昨年の安値3万792円水準への回帰が現実的なリスクとなる。

 相場を読むなら、まずワシントンを読め。トランプ大統領は寝ても覚めてもアメリカ・ファーストだ。関税は目的ではなく交渉の道具であり、米国の利益になる限り続く。

 先週まで「6万円」を支えた金利差シナリオは今も有効だが、関税という重石が取れない限り、その天井は切り下がっている。7月24日、その答えが出る。

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