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イラン攻撃から3週間、情勢・市場ともに落ち着かず
米国・イスラエルによるイランへの軍事攻撃から約3週間が経過した現在も、世界のエネルギー供給の要衝であるホルムズ海峡は、実質的な封鎖状態が続いている。
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国際原油価格は一時1バレル100ドルを突破し、その後やや落ち着きを見せたものの依然として高水準で推移。混乱の長期化をマーケットが織り込み始めている。
■封鎖が続くホルムズ海峡
2月28日の米国・イスラエルによるイラン攻撃を受け、イラン側がホルムズ海峡の封鎖を宣言、まもなくほぼ完全に実施された。
ホルムズ海峡が封鎖されたことで重大な供給路が絶たれ、原油価格は高騰。ガソリンをはじめとした原油製品の価格にも連動し、世界経済全体へ影響が広がっている。
代替ルートの活用も進んでいるが、平時の輸送量を補うには程遠く、輸送コストも急騰しているなど、攻撃から3週間経過した今でも厳しい状態が続いている。
外交面ではわずかな動きも出ている。イランのアラグチ外相は3月20日、日本関連船舶の通過容認を示唆しており、日本との協議が進んでいると見られる。
しかしこれも局所的な対応にすぎず、マーケットへの悪影響を本格的に抑えるようなポジティブ材料は大方見当たらないのが現状だ。
■株式・為替・債券、広がる市場の波紋
WTI先物は紛争開始以来大幅に上昇し一時100ドルを突破、その後やや下落したが再び上昇しており、油断はできない。
特に日本が主に輸入する中東産原油はWTIを大きく上回る急騰を示しており、日本が直面するコストはさらに深刻な水準にある。
日本の原油輸入の9割超は中東産が占め、そのほぼ全量がホルムズ海峡を経由するという構造的な脆弱性が、今回の危機で改めて浮き彫りになった。
マーケットへの打撃は株式にとどまらない。日経平均株価は3月9日に前週末比2892円安を記録。その後いったん反発したが、原油価格の再上昇とともに不安定な展開が続いている。
3月20日のニューヨーク市場では株式・債券ともに売りが優勢となった。インフレへの懸念が高まるなかで利上げ観測が再燃しており、さらなる混迷を極めている。
為替市場でも円安圧力が強まっており、輸入コストが円安でさらに膨らむ二重の打撃が日本を直撃している。さらに原油はガソリンだけでなくプラスチックや化学製品の原料となるナフサの原料でもあり、製造業全般のコスト上昇も避けられない状況だ。
原油輸入の9割超を中東に依存する日本にとって、この危機の行方は経済の根幹に直結する。もちろん、国内の投資家にとっても非常に重要な問題である。
戦闘が収まる兆しが見えないなか、株式・為替・債券・物価と連鎖的に広がる影響から、中東情勢と原油動向から目が離せない状況がしばらく続くことになりそうだ。(記事:庭田 學・記事一覧を見る)
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