JX金属がストップ高、インジウムリン基板200億円投資と上方修正・増配が刺激

2026年2月12日 13:53

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 JX金属(5016)が2月12日、前日比500.5円高の3,280円でストップ高を記録し、年初来高値を大幅に更新した。チャート上では、直近の戻り高値を抜けたことで戻り売り圧力が消滅する「青天井」の局面に入っている。

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 この急騰の直接的な契機となったのは、2月10日に発表された2026年3月期第3四半期決算だ。会社側の適時開示によれば、売上高が前年同期比18.9%増の6,145億円、営業利益が同44.8%増の1,248億円と大幅な増益を達成した。また通期の純利益予想を17.7%上方修正し、期末配当も15円から21円へ増額した。

 さらに市場の関心を高めているのが、次世代光通信デバイスに不可欠な「インジウムリン(InP)基板」への追加設備投資だ。会社側のプレスリリースによると、データセンター向けの需要増に対応するための生産能力拡大を決定したという。

 非鉄素材メーカーとしての安定性に、AIデータセンター関連の本命という成長期待が加わったことで、市場心理は大きく変化している。投資効果が利益に反映されるまでにはタイムラグがあるものの、構造的な需要増への対応は将来の収益基盤を強化する材料である。

 今回の需給状況を見ると、今後の展開について一つの見方が浮かび上がる。2月12日の前場引け後では、買い注文に対し売り注文が3分の1程度に留まる圧倒的な需給ギャップが生じている。これは直近で空売りを入れていた層が買い戻しを迫られる「ショートスクイズ」を引き起こしており、明日以降も利益確定売りを吸収しながら4,000円の大台を目指す強い需給サイクルに入った可能性がある。

 また同社が、従来の「非鉄メーカー」から「ハイテク素材プロバイダー」へと再定義されているという見方もできる。銅価格連動株という枠組みを超え、AIインフラを支える特殊材料メーカーとして評価され始めたことで、投資家層が入れ替わり、PERの許容範囲が拡大している。

 今回のストップ高は、セクター分類の枠を越えたバリュエーションの移行期を示唆しているのではないか。

 さらに個人投資家の間では、「国策銘柄」としての側面も意識されている。銅はEVやAIインフラに不可欠な戦略物資であり、国内の資源確保は政治的な重要課題だ。豪州のレアアース企業であるRZリソーシズへの権益投資や、同社の上場観測といった報道も、将来的な含み資産価値を高める連想を呼んでいる。

 これらが単なる思惑に終わらず、実益として寄与するかは、政府の半導体・素材支援方針やRZ社の公式な発表を注視する必要がある。

 今後の焦点は、現時点での需給の過熱感をいかに消化するかにある。上値を追う展開となるには、銅価格の指標となるLME(ロンドン金属取引所)価格の高止まりと、AIインフラ投資の継続性が確認されることが前提だ。

 一方で、為替の円高進行が利益を圧迫するリスクも拭えない。期待が先行しているだけに、明日の寄り付き後の利益確定売りの勢いや、過去の窓を埋めるような調整の動きには注意が必要だろう。

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