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過去最大の赤字! 苦境が続く資生堂

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●資生堂が2期連続・過去最大の赤字
資生堂は10日、2025年12月期の連結純損益予測(国際会計基準)が、520億円の赤字になると下方修正した。赤字は過去最大で、2期連続となる。
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ヒット商品不在や中国市場の低迷、さらには米州事業の収益性低下などが原因で、株価も、10月後半下旬に回復したが、その後約10%下落している。
資生堂は構造改革とリストラによって、26年に黒字化を目指す。化粧品業界を牽引してきた資生堂はどうなるのか?
●資生堂の盛衰
資生堂は1872年に日本初の民間調剤薬局として、東京・銀座に誕生。1897年から化粧品事業に参入した。
高度経済成長期からは革新的なマーケティングが奏功し、TSUBAKIや、メンズスキンケアのuno、メイク落としのSENKAなど、幅広いジャンルのヒット商品を生み出してきた。
2020年以降はD&G(ドルチェ&ガッバーナ)など複数のブランドとのライセンス契約を終了し、高価格帯の独自ブランドに注力してきた。
2010年代後半以降、海外M&Aを積極的に行ってきたが、買収先の減損処理が相次いだ。一方、TSUBAKIなど売却された事業は成果を上げている。
2020年のコロナ禍による大打撃に加え、中国市場の衰退や消費者行動の変化などが大きく影響している。
●新たな火種も?
中国が自国民に対し、日本への渡航を控えるように勧告したことで、資生堂の株価が約11%下落した。中国事業の売上高が約25%を占める資生堂にとって、今後どこまで影響が広がるか未知数である。
苦境が続く海外事業だが、今回の決算で日本事業は0.1%増収だった。タイを中心に東南アジアや韓国では成長している。
SNSキャンペーンやデジタルCRMなどの導入は、一定の成果を上げている。
2030年までの5年間で5,000億円~6,000億円の営業キャッシュフローを見込んでおり、設備投資に約2,000億円、配当金も約1,300億円分配するなど、財務体質は逼迫しているわけではない。
ライバル社の一つである花王は、2025年1-9月期の連結決算が純利益19%増となるなど、化粧品事業が下火になっているわけではない。
資生堂は過渡期を迎えているかもしれないが、外部環境に負けない基盤づくりが最優先となりそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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