アイデミー、株価は底固め完了感、26年5月期の収益拡大に期待、中長期的に取り巻く事業環境は良好

2025年3月22日 13:44

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 アイデミー<5577>(東証グロース)は東大発のAIスタートアップである。AI/DX人材の育成を支援するプロダクト、顧客のAI開発やDX変革を伴走型で支援するソリューションなどを一気通貫サービスとして提供している。25年5月期(2月14日付で下方修正)は赤字予想としている。売上高が計画を下回り、先行投資等も影響する見込みだ。ただし中長期的に同社を取り巻く事業環境は良好であり、積極的な事業展開で26年5月期の収益拡大を期待したい。株価は安値圏でモミ合う形だが底固め完了感を強めている。出直りを期待したい。なお4月11日に25年5月期第3四半期決算発表を予定している。

■東大発のAIスタートアップ

 同社はAI開発支援を中心に人材育成からコンサルティングまで提供する東大発のAIスタートアップである。AIをはじめとする新たなソフトウェア技術を、いち早くビジネスの現場にインストールすることで、次世代の産業創出を加速させることを目指している。なお25年1月に持続可能な脱炭素社会の実現を目指す日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)に加盟、一般社団法人AIガバナンス協会に加盟した。

 M&A関連では24年1月にWebクリエイティブ事業やWebアプリケーション構築事業を展開するファクトリアルを子会社化、24年6月にWEBサイト構築・運用等を展開するまぼろしを子会社化、24年12月にWebアプリケーション開発に強みを持つIT企業のトゥーアール社を子会社化した。資本業務提携としては20年1月にダイキン工業<6367>、テクノプロ・ホールディングス<6028>の子会社テクノプロ、21年6月に古河電気工業<5801>、22年12月に日本ゼオン<4205>と、それぞれ資本業務提携している。

■AI/DX内製化支援のプロダクトやソリューションを一気通貫で提供

 同社は、単にAIが絡むシステムの受託開発や研修を請け負うのではなく、AI/DX内製化をユーザー主導で実現するために必要なツールを提供するという基本方針のもと、企業変革の基盤となるDXの推進およびAI/DXの内製化を支援する各種プロダクトやソリューションを、相互シナジーが期待できる一気通貫サービスとして提供している。

 サービス区分は、企業がデジタル変革に向けて必要とするAI/DX人材の育成を支援するAI/DXプロダクト、顧客のAI開発やDX変革を伴走型で支援するAI/DXソリューション、個人向けにAI/DXラーニングサービスを提供するAI/DXリスキリングとしている。

 AI/DXプロダクトは、オンラインAI/DXラーニングAidemy Business(アイデミー ビジネス)、講師派遣型でAI/DX人材育成研修を行うAidemy Practice(アイデミー プラクティス)、GX/カーボンニュートラルの概要・全体像を効率よく学べるオンラインGX人材育成コンテンツAidemy GXを提供している。収益モデルはライセンス数・人数に応じて売上計上するリカーリング型である。

 AI/DXソリューションは、AI/DX開発の内製化に向けた伴走型支援サービスModeloy(モデロイ)を提供している。経験豊富な同社のエンジニア・データサイエンティストが顧客企業のメンバーとともに、課題選定から開発・運用までのプロジェクトを推進し、AI開発やDX推進を支援する。24年1月には子会社化したファクトリアルが加わり、デリバリー能力を増強(デリバリー人員が従来の13人から39人に増加)した。収益モデルはプロジェクトごとのフロー型である。

 AI/DXリスキリングは個人向けのオンラインDXラーニングサービスAidemy Premium(アイデミー プレミアム)を提供している。24年3月にはオンラインGX人材育成コンテンツAidemy GXの個人向け提供も開始した。

■先端技術に関する知見が強み

 同社はAIをはじめとする先端技術に関する知見を強みとしている。AIに関する知見を有する経験豊富なデータサイエンティストが多数在籍し、相互シナジーが期待できる一気通貫サービスを提供していることに加え、M&Aやアライアンスも活用しながら、生成AIやMaterials Informatics(化学分野でのAI活用)などの最新AI技術を横展開することで、従来型のAI/DXベンダーとの競合差別化を図っている。

■先端技術のサービスラインナップ拡充とクロスセル拡大を推進

 成長戦略として、生成AI関連などの先端技術テーマを軸にしたプロダクトの新規開発、業界別ソリューションの充実や横展開、サービスラインナップの拡充、クロスセルによる売上拡大などを推進している。単にプロダクトを提供するだけでなく、教育研修分野の顧客(受講生)と共創してAI開発を行うなど、AI/DXプロダクトの顧客にAI/DXソリューションをクロスセルすることにより、業種業界をまたいだ売上拡大を図ることが可能になる。そして24年5月期まではM&Aを含めて人材の確保や組織体制の構築に注力してきたが、25年5月期以降の飛躍期に向けた準備が整ったとしている。

 23年7月には、Materials Informatics領域の新サービスとして、データ活用プラットフォームLab Bank(ラボバンク)を提供開始した。24年3月には、デジタルスキルを可視化するアセスメントサービスとして、個人・企業の両者の分析につながる新サービスDPAS(Digital Professional Assessment Service)を提供開始した。

 24年4月には、法人向けAidemy Businessおよび個人向けAidemy Premiumの新機能として、パーソナルAIアシスタントMy Aide(マイエイド)を発表した。同社は技術戦略の柱にLLM(大規模言語モデル)を据えて生成AIへの投資を加速させる方針を掲げており、今後もLLMを用いて、受講者の学習支援や管理者の学習管理業務の効率化につながる機能をAidemyのプラットフォーム上に順次実装予定としているほか、LLMを応用した新規事業の立ち上げも目指す方針としている。24年5月にはNVIDIAのAIスタートアップ支援プログラムNVIDIA Inception Programのパートナー企業に認定された。

 24年9月には、GXと生成AIを掛け合わせたSaaSの新プロダクトを25年初頭にローンチすると発表した。24年10月には、LLMが生成する出力結果の品質を評価・管理する新しいクラウドサービスLLM品質管理クラウドのリリースを決定した。企業や組織がRAG(Retrieval―Augmented Generation)システムに代表されるLLMを活用したシステムを、より安心して活用できる環境を提供する。

■M&A・アライアンスも活用

 新プロダクト開発や売上拡大に向けて、M&A・アライアンスも積極活用する方針としている。M&Aのターゲットとしては、AI/DXソリューションのModeloyのデリバリーパートナーになり得る開発会社(WEB制作会社など)や、エンタープライズ向けプロダクトを保有する会社を想定している。

 生成AIに特化したソリューションを提供する東大松尾研究スタートアップであるneoAIと協業し、生成AI領域における学習コンテンツ開発やセミナー開催などで連携しているほか、24年2月にはプラスアルファ・コンサルティングが提供するタレントマネジメントシステムとの連携を開始した。24年3月には、デロイト トーマツ グループのデロイト トーマツ コンサルティング合同会社とアライアンス締結に合意した。

 24年5月には、学研ホールディングスのグループ会社でオープン研修Tomorrowなどを展開するTOASUと、AI/DX人材養成の体制拡充に向けて提携した。TOASUがAidemy BusinessおよびDPASの販売店となる。24年6月には企業向け研修サービスを提供するサーカスと協業開始した。オンラインゲームを活用したGX研修を共同で実施する。24年7月にはMakeDなどとともに、カーボンニュートラル実現に向けて必要となる人材の課題に対応するグリーン人材開発協議会を設立した。

■日本を代表する大企業との取引が中心で強固な顧客基盤

 24年5月期のサービス別売上高は、法人向けのAI/DXプロダクト事業が12億83百万円、AI/DXソリューション事業が5億43百万円、個人向けのAI/DXリスキリング事業が2億92百万円だった。24年5月期末時点の長期継続顧客数(12カ月以上の契約顧客数)は前期末比26社増加の144社で、長期継続顧客比率は85%となった。AI/DXプロダクト事業は法人との取引機会創出により高成長を継続した。AI/DXソリューション事業はデジタル変革伴走型支援ニーズの高まりによって案件単価が向上し、収益性も向上した。個人向けのAI/DXリスキリング事業は需要が堅調に推移した。なお24年5月には「Aidemy」の累計ユーザー数が30万人を突破した。

 資本業務提携しているダイキン工業、テクノプロ、古河電気工業、日本ゼオンのほか、本田技研工業、キヤノン、大日本印刷、冨士フィルム、大塚ホールディングス、大和証券グループ本社、住友商事など、AI/DXの内製化に取り組む日本を代表する大企業との取引が中心となっており、強固な顧客基盤を構築している。24年5月にはキリンホールディングス向けにAidemy Businessの提供を開始した。

 資本業務提携先のダイキン工業とはAidemy Business導入後、アカウント増加やModeloyへのクロスセルに進み、今後も共同プロジェクトの実施を計画している。日本ゼオンとはデジタル人材育成を起点として、材料開発に関するMaterials Informatics領域での協業に進み、今後は共同開発したプロダクトの素材メーカーへの外販なども計画している。古河電気工業とはAidemy Businessの全社展開やModeloyによる工場内システム内製化支援のほか、MI領域での基礎モデルを共同開発中である。

■25年5月期は赤字予想、26年5月期の収益拡大期待

 25年5月期の連結業績予想(2月14日付で下方修正)は売上高が24年5月期比8.9%減の19億30百万円、営業利益が1億10百万円の損失(24年5月期は2億94百万円)、経常利益が1億10百万円の損失(同2億90百万円)、親会社株主帰属当期純利益が1億50百万円の損失(同2億15百万円)としている。

 前回予想(24年7月11日付の期初計画値、売上高27億円、営業利益3億円、経常利益2億97百万円、親会社株主帰属当期純利益1億63百万円)に対して、売上高を7億70百万円、営業利益を4億10百万円、経常利益を4億07百万円、親会社株主帰属当期純利益を3億13百万円、それぞれ下方修正した。

 E―learning市場の競争激化や生成AIの急速な進化など事業環境の変化に対し、組織体制整備不足等の影響で売上高が計画を大きく下回る見込みとなった。また先行投資等も影響して各利益は損失計上の見込みとなった。下方修正に伴う経営責任を明確にするため役員報酬の一部を減額する。25年5月期は下方修正して赤字予想となったが、中長期的に同社を取り巻く事業環境は良好であり、積極的な事業展開で26年5月期の収益拡大を期待したい。

■株価は底固め完了

 株価は安値圏でモミ合う形だが底固め完了感を強めている。出直りを期待したい。3月19日の終値は656円、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS294円21銭で算出)は約2.2倍、そして時価総額は約26億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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