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ホンダと日産の破談
ホンダと日産の合併話が出た時点で、直感的に「色んな難問の解決が出来なければ上手く行かないだろう」との記事を完成していたら、案の定と言うべきか、想定した通り、早々に破談となってしまった。
【こちらも】ホンダと日産の経営統合が破談、そのメリットデメリットは?
結果的には1本の記事が無駄となったが、今後を考察すると、却ってテーマ的には難しくなった様だ。
●ホンダの評価
『ホンダは大丈夫か?』(2024年6月27日付)でも分析したが、「2040年にEV車と燃料電池車(FCV)に全面的に転換する」と表明した際には、正直驚かされた。
考えれば、F-1撤退報道の頃から、おかしくなったとの印象がある。
内燃機関技術で地位を確立したメーカーが、「誰にでも造れる」EV車に全面転換するとの判断は、どの様な分析・考察からなされたのか、経営陣の判断には理解に苦しむ。
またトヨタの豊田会長から、内燃機関を放棄することを思い直す様にとの説得を受けたが、無碍に拒絶したとの噂も耳にする。
内燃機関技術の基礎が充実しているからこそ、現在の地位を確立出来たのに、何を考えているのだろうか。
ホンダ技術研究所を訪問した際、部外者が見ても当時のホンダのレベルでここまでやるのと思わせられた、あの充実した研究体制はどうしたのだろうか。
ホンダが将来的に、EV車に全振りするとの表明には、全く賛同出来ない。
得意技術に更に磨きをかけずに、どうしようと言うのか?
経営陣がEV車に対する冷静な分析をし、自社が誇れる内燃機関技術への回帰に舵を切ることが不可欠だろう。
しかし現経営陣の能力には、疑問符が付くのは致し方無いと考える。
●日産の評価
日産自動車とプリンス自動車工業は、1966年8月に実質的には日産自動車による吸収合併として新しい一歩を踏み出した。
「技術の日産」と、言ったもの勝ちのキャッチフレーズを使っているが、その技術は合併したプリンスが大半を保持していたものだ。
プリンスは立川飛行機、中島飛行機系の元航空技術者を多く擁する技術開発重視の社風により、早くから先進技術を導入した。
1966~70年頃の、「トヨタ・カローラvs日産・サニー時代」には、カローラのOHV1,077ccハイカムシャフト5ベアリング60PS/6,000rpmに対し、サニーはOHV988ccターンフロー 56PS/6,000rpmであったが、吹き上がり一つ取っても、サニーのA10型エンジンの方が圧倒的な高評価を得ていた。
この頃なら技術の日産と称しても許されただろう。
しかし2010年頃の、ハイブリッド(HV)技術を見ると、ダントツのトヨタ、周回遅れのホンダ、そのホンダの背中が遠ざかってゆくビリの日産といった状況であった。
そこで、HVを諦めてEVに注力したのだろうと勝手に想像している。
しかし、「リーフ」は現在に至るまで、発火事故とは完全に無縁なEV車である点は評価されるべきだ。
「ゴーン体制で回復した」と言われるが、日本の「仲間を大事に、手を携えて繫栄して行こう」とする志向を、情け容赦なく切り捨てて、短期的な収支を装っただけの手法だ。
そして強欲な進駐軍が逃亡した後の、無能な経営者集団の舵取りが、間違っていただけだろう。
合弁方針の会見でも、ホンネを言えば「救済合併」して貰う側の日産の態度の悪さが際立った。
助ける側のホンダが「対等なんだよ」と優しく声を掛けても良いが、拾って貰う側が胸を張れる筈も無い。
余計な役員数、高額の給与、赤字決算の会社を考えれば、取るべき態度は自ずと判りそうなものである。
●参考までにトヨタ(T)、ホンダ(H)、日産(N)を較べてみる
先ず、売上高はT:45兆円、H:20兆円、N:12兆円。
役員数は、T:29名、H:26名、N:63名。
役員給与は、T:37億円、H:18億円、N:29億円。
トヨタは参考として見ておいて欲しいが、当事者のホンダと日産を単純に比較しても、8052億の利益計上をしながら、26名の役員に18億円しか役員給与を支出していないホンダに対し、800億円もの赤字を計上しながら、無駄に63名もの役員に29億円も給与を支出する、無能な経営陣と、危機感の無さには驚きを禁じ得ない。
溺れる者と、救助者の立場を理解しないから、見捨てられる結果となったのだろう。
●危惧することと期待すること
EV車が車の主流になることはあり得ないと考える。
誰しも溺れている者を助けに行って、抱きつかれて一緒に溺死したくは無い。
今後日産に手を差し伸べる企業は、何等かの思惑があってアプローチして来るのだろう。
そこに対して、やれ嬉しやと、下手にしがみついて、背後に潜む反日国家に飲み込まれる様なことには、十二分に神経を配るべきだと考える。
「ホンダの奴隷になった方が余程良かった」と後悔しても遅いのだ。
またホンダには、HVやPHVに軸足を戻して、合弁の話が出た際に、態度を保留し、その後いち早く撤退した三菱単独との合流を期待したい。
いずれにしても、日本の将来に対しても、責任ある舵取りを期待したいものだ。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)
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