関連記事
TSMC熊本工場から日本経済再生か!?
●TSMC熊本第1工場が開所
半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は2月24日、熊本工場で開所式を行った。今後は、第2工場の建設も予定されている。
【こちらも】エヌビディア好決算でさらなる上昇相場か!?
熊本県・菊陽町に開設された第1工場は、ペイペイドーム3個分の21万平方メートルで、TSMCは約1兆円を投資し、日本政府も最大4760億円を出資した。
日本政府としては半導体立国としての拠点にしたいだけでなく、地元九州も経済効果が期待される。
生産拠点が次々と海外に流出し、産業の空洞化とも言われてきた日本が、TSMC工場をきっかけに半導体大国を復活させることができるのだろうか?
●熊本工場ができた経緯
元々九州は、福岡を中心に半導体企業が大小1000社以上集まり、シリコンアイランドと呼ばれるほど、半導体関連産業の盛んな地域である。熊本にも関連企業は200社以上ある。
熊本は地下水が豊富な地域である。半導体製造のプロセスでは洗浄が欠かせず、洗浄で不純物の無い熊本の純水が決め手になったと言われている。
TSMCは2021年11月に熊本での新工場設立を発表したが、わずか2年(通常は3年)足らずの急ピッチで竣工にこぎつけた。
熊本第2工場の建設も決まっており、日本政府が最大7320億円を補助し、TSMCもさらに2兆円近くを投資すると見られている。
●期待と課題
2つの工場で、日本に及ぼす経済効果は10年で20兆円にも上ると言われている。
従業員も3400人体制で、台湾からの駐在員や家族も約1000人近く来ると見られ、その人たちのための住宅や出張増加でホテルへの需要も期待される。
住宅だけでなく、それに伴いホームセンターや家電量販店、飲食店、スーパー、その他娯楽施設まで次々と進出することが予想され、あらゆる経済効果が期待される。
しかし、人口わずか4万人程度の菊陽町に世界的な大企業が進出することによるデメリットは、想像に難くない。
慢性的な交通渋滞も当然問題となりそうで、道路の拡充などのインフラ整備、地下水の使用によって環境への負荷も懸念される。地域住民との軋轢も起こり得る。
これらを克服できるなら地域経済活性のモデルとして、日本が半導体大国として復活することの両立も可能である。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
スポンサードリンク