「2025年の崖」に立ち向かうデータ・アプリ、投資妙味生み出すには特定株比率の解きほぐしが肝要

2024年2月3日 09:57

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 データ・アプリケーション(東証スタンダード。以下、データ・アプリ)。BtoBの電子商取引など、EDI(電子データ交換)ソフトウエアパッケージ事業が主軸。

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 投資雑誌からデータ・アプリのZoom IRの参加の誘いを受けた。1月23日午後4時から1時間余、経営企画グループマネージャー:矢下秀行氏の説明を受け質問をする機会を得た。参加を希望した理由は、いわゆる『2025年の崖』問題に対する同社の「本気度」を確認したかったからだ。

 改めるまでもないだろうが。2025年の崖は「企業間取引で日々発現する見積/注文/出荷/請求/支払いなどの煩雑な手続き」に起因する。どうしても解決しなくてはならない課題であり、未解決では「日本全体の経済損失は、年間最大12兆円に上る可能性も」とする試算もある。

 解決策は一口で言えば「DX化」の推進。それを促すのが企業間の取引情報をIP網などで接続し、自動化するのがEDI。そのソフトを扱うデータ・アプリに、目が向けられるのは至極当然。データ・アプリは、着実な歩みを示している。

 今3月期の上方修正にも、それは窺える。期初計画(今期から非連結)「売上高26億円、営業利益4億1000万円、純利益3億3800万円、22.5円配」を、それぞれ「29億円、5億2000万円、4億2600万円、24円配」に上方修正した。その背景をこう説明した。「サブスクリプション型の売上の伸長に加え、総額2億円程度の売り切り型のパッケージ特需」。

 サブスク型への注力が、今後の同社を占うカギとなる。24年3月期で売上高25億円(21年3月期比3倍)を見る限り、順調な推移を示している。営業利益も3億5000万円の計上が見込まれている。「サブスクの拡充に全力で臨む」(矢下氏)。

 23年2月に1対2の株式分割を実施している。「DOE(株主資本配当率)3.5%水準を目安に・・・」ともしている。株主に対する姿勢も好感できる。過去10年間の分割等々を勘案した修正値ベースの株価パフォーマンスも約3倍。

 本稿作成中の時価は1000円トビ台(昨年来高値水準)、予想税引き後配当利回り1.8%水準。期待を込めて投資対象の俎上に、という見方もできる・・・がデータ・アプリを俎上云々に捉える上で「崖」ならぬ「壁」を覚えるのも事実。出来高の薄さだ。

 年明け以降の1日当たりの出来高は、約7400株。特定株比率68%が大きな要因と言える。「会社の認知度をあげるためコマーシャル活動にも注力」としているが、並行して「68%」問題解消とどう取り組むのか。

 矢下氏はこう答えた「要因としては元役員の方や特定の企業の保有株の多さがある。(68%を)解きほぐすための話し合いは始めている」。元役員が株を保有し続けている。それだけ魅力的な企業とも言える。が、より広範な株主に取得してもらいたい企業と考える。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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