「株主優待企業数、足踏み」とされる中、プレミアム優待俱楽部運営:ウィルズの今

2024年1月17日 09:22

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 久方ぶりにウィルズ(東証グロース)の収益動向を確認したくなった。株主優待商品の交換サイト「プレミアム優待倶楽部」を運営している。

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 株主優待株の投資家というと、元棋士の桐谷広人の顔が浮かぶ。「株主優待策を実施している企業の株に投資することで、日々の生活品に困らない」という持論の持ち主。

 その一方で「2022年9月時点で、日本では全上場企業の約4割の1463社が株主優待を実施している。優待実施は過去20年以上にわたって概ね増加基調にあったが、2019年をピークに頭打ちになった。優待は機関投資家や外国人株主にメリットが薄いといった課題が指摘され、株主平等性の観点から廃止する企業も存在する」(23年1月16日付け、大和総研レポート)と知った。

 株主優待企業の頭打ち・廃止は、ウィルズにとりビジネスの根幹を揺さぶりかねないのではないか・・・そんな思いがウィルズの今を覗こうと思うキッカケだった。

 プレミアム優待倶楽部の礎は、倶楽部に加入する株主優待企業。優待企業の株主は倶楽部に登録すると、保有株数・保有期間に乗じて「プレミアムポイント」を取得する。ポイントはこう活かされる。「溜まったポイント数に応じ、株主となっている優待企業の自社商品を優位に交換できる」「貯まったポイントをウィルズコイン(Web上のコイン)経由で他社のポイントと合算できる」「貯まったポイントに応じ、提携する百貨店・旅行会社などの商品に交換できる」etc。

 倶楽部に加入する優待企業にとっては、「株主還元策の拡充⇔株主増加・安定化」といったメリットを得られる。

 さてウィルズの現況はどうか。HPには「昨年12月の加入企業4社」の他、加入動向の推移が誇らし気に記されている。2019年の上場だが21年12月期以降の状況は「38.8%増収、30.6%営業増益、2・5円配」「13.0%増収、34.6%営業増益、4.5円増7円配」。

 そして今12月期は「6.1%増収(40億4900万円)、6.8%営業増益(7億5000万円)、19.2%最終増益(4億9700万円)、創立20周年配を含む9.50配」計画で立ち上がり、開示済みの第3四半期の実数は「33億4800万円、7億6400万円、5億2200万円」。そして第3四半期の決算資料には「9月30日時点で株主優待制度を導入する企業は、1477社となった」と記されている。

 本稿作成中の時価は700円水準、予想税引き後配当利回り1.1%強。1月に723円まで買われ小幅調整場面。信用取引の取組は、76.95倍の買い長。

 創業者社長の杉本光正は、なんとも巧みは枠組みの企業を興したものだ・・・(記事:千葉明・記事一覧を見る

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