2024年の展望 京都の電子部品3社

2024年1月4日 17:00

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記事提供元:エコノミックニュース

2024年は「親和性が高い」といわれているロームと東芝の半導体事業のシナジーが始動する

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■ニデックは「機械事業本部」が本格始動

 ニデック(旧・日本電産)の2024年3月期の通期業績見通しは、売上高は1.9%減ながら、営業利益119.8%増、税引前当期利益74.1%増、最終利益266.6%増と、利益の大幅なV字回復を見込んでいる。想定為替レートはドル円120円で、現状それを10円以上も超える円安なので、業績見通しの達成はほぼ確実だろう。

 事業環境については、IT機器や家電は需要の本格的な回復に時間がかかるとみる一方、産業・インフラ系の需要は当面堅調に推移するとみている。

 2023年3月期に2兆円を突破した売上高の中・長期目標は、2026年3月期に4兆円突破、2031年度に10兆円突破。同社は「成長領域に軸足を置いた自律成長と新規M&Aによって、売上と利益の増加を目指す」としている。2024年は世界的な需要の拡大、積極的な設備投資、積極的なM&Aの相乗効果を発揮できる年になるだろうか。

 分野別では、「精密小型モータ」は省電力関連やサーマルマネジメント需要の獲得、車載小型モータの量産化で事業ポートフォリオを大胆に転換。二輪車の電動化、マイクロプロセッサの水冷モジュールのような新商材の投入も行われる。

 「世界ナンバーワンの車載システム企業」を目指す「車載」は、「CASE革命」による電動化需要加速の波に乗れるかどうかがカギになる。低迷した中国市場では「E-Axle」事業の戦略転換を図り、急速な低価格化、モータの低出力化、「X-in-1」化に対応するという。

 「家電・商業・産業用」は、高効率モータへの置き換えなど「グリーン・イノベーション関連需要」の獲得を軸に、高成長の実現を目指している。新分野への挑戦としては、革新的技術を盛り込んだ「SnyRAモータ」を市場投入し、誘導モータ市場でダントツの世界シェアナンバーワン獲得を狙っている。

 「その他製品グループ」では、減速機、プレス機、工作機械などを取り扱う「機械事業本部」が始動したばかりで、積極的なグローバル展開とM&Aによる事業拡大を図っている。この事業本部が2024年、業績の牽引車となるか注目される。

■村田製作所の「3層ポートフォリオ」戦略

 村田製作所の2024年3月期の通期業績見通しは、売上収益は4.0%減、営業利益は9.5%減、税引前利益は1.5%減、最終利益は7.8%減という厳しいものとなっている。想定為替レートはドル円145円で、期末にそれより円高に振れれば、減収減益幅はさらにひろがりそうだ。

 事業環境については、パワーツール事業やPC周辺機器、サーバーの最終需要の低下により、家電やコンピュータ向けで売上数量の減少が予想されるとしている。それが円安効果を相殺して減収を予測するが、その円安もいつまで続くかわからない。

 それでも同社は「2030年に向けた事業機会の拡大の見方に大きな変化はない」としており、将来の成長に向けての「3層ポートフォリオ経営」の推進、市場創出へのチャレンジ、「キャッシュを創出する力」の源泉である経営資本の強化を強調する。

 3層ポートフォリオ経営の分野別の1層目になるのが「車載」で、車載向けのMLCC、車載向けのインダクタ、EMIフィルタの成長が期待できるとしている。DC-DCコンバータのようなパワー系部品は、そのメインをなすものになるという。2層目としてはまず「高周波・通信」「機能デバイス」で、無線通信についてはM&Aを活用して競合企業との差異化技術を強化し、機能デバイスについては自動運転市場向けの防滴型超音波センサやMEMS慣性力センサの量産化が期待できるという。「エナジー・パワー」については、リチウムイオン二次電池など電池事業ではハイパワー、長寿命という独自の強みを活かして強固な事業基盤を構築することを目指し、「省エネ」が第一課題の電源モジュールでは、データセンター、サーバーのような成長市場に特化して事業拡大を狙っていくという。3層目は「異業種との知のコラボレーション」によってイノベーションの機会創出を図ることで、「金津村田製作所クリーンエネパーク」では「ソーラーパネル+蓄電池+制御ソフト」の統合システムの事業化に取り組んでおり、繊維技術を持つ帝人フロンティアと組んだ「ピエクレックス」では、電気で殺菌する抗菌繊維、繊維製品の堆肥化のような斬新な領域に挑戦している。

■LSI、SiCで業績のV字回復を狙うローム

 ロームの2024年3月期の通期業績見通しは、売上高1.6%減、営業利益42.6%減、経常利益36.1%減、最終利益26.6%減で、下方修正も行われ、非常に厳しい利益見通しになっている。同社ではその要因として、世界的なインフレ、米欧の金利上昇のような経済不安による市場の減速と、在庫調整の影響を挙げている。

 それでも2024年以後の業績V字回復を期して、LSI、SiCを軸に、2025年を目標年度とする成長戦略を果敢に展開していく構えをみせている。

 LSI事業では、ASSP製品おにおいて売上が伸びており付加価値も高い「戦略TOP10分野」を設定し、開発とサポートでその売上構成比を拡大することで、売上も利益も拡大を図るという事業戦略をとっている。売上構成比の拡大目標は2024年度29%、2025年度32%。注力分野の一つであり、電動化、電装化が進む車載向けソリューションでは、LEDドライバ、絶縁ゲートドライバ、ADASソリューションなど付加価値のある製品を継続して投入し、海外顧客向け売上を高めていく方針である。

 パワーデバイス事業は、2021年から2027年にかけてのCAGR29.8%が目標。1年で売上が約3割増のペースで伸び、2024年は2000億円、2027年は5000億円近くに達するという計算になる。その主役は注目を浴びるSiCパワー半導体で「大電力、高電圧(600V以上)、高周波(20~200kHz)」での使用を想定される分野で市場の制覇を目指す。

 SiCのキャパシティ増強計画として2024年中に宮崎第二工場(8インチ)が稼働を開始する予定で、宮崎工場(6インチ)、筑後工場(6インチ/8インチ)とともに三拠点態勢が整う。宮崎第二工場ではSiCデバイスだけでなくSiC基板の生産も行われる。

 2023年にロームがJIPを通じて資本参加した東芝は、同年末に非上場化した。2024年は「親和性が高い」といわれているロームと東芝の半導体事業のシナジーが始動する。すでに両社の間で具体的な協議に入っている。(編集担当:寺尾淳)

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