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ソニー、画像の真正性証明するカメラ内デジタル署名 AP通信と実証実験
ソニーは22日、米国通信社のAssociated Press(AP通信)と共同で、報道用に撮影した画像の真正性を証明するカメラ内技術の実証実験を行ったと発表した。
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実証実験はこれまで複数回行っており、直近では2023年10月頃に約1カ月間かけて進めた。今回は、報道業界向けの画像管理ツールなどを展開している米ソフトウェア企業の Camera Bitsとも提携して技術検証を行っている。
実証実験の背景には、報道画像がフェイク画像・偽情報の拡散に使われることへの懸念がある。実際、生成AIなどを用いて報道写真が加工されて偽記事に使われる、報道番組の動画が悪用されるといった事件も起こっている。
実験では、写真撮影時に、カメラ内のデータ制御などを担うハードウェアチップセットで、画像にデジタル署名を付与する技術を搭載し、検証を行った。撮影時にデジタル署名を付与することで、カメラで撮った証明と、撮影時点以降に画像が改ざんされたことを検知できるようになる。
また実験をAP通信の画像納品ワークフローで実施し、プロセスについても検証を行ったという。その際、報道業界で広く用いられているCamera Bitsの画像ワークフローツール「Photo Mechanic」を活用。3社で連携しながら、編集プロセス全体を通じてデジタル署名を保持できるPhoto Mechanic向けの技術を開発し、実験を進めた。
1846年設立のAP通信は深い歴史を持ち、現時点でも世界約100カ国で展開している大手報道機関だ。ソニーは、同社と20年7月から提携。以来、提携にもとづき、AP通信の全世界での活動に対してソニー製のカメラやレンズなどのイメージング製品を独占的に提供している。
今回はCamera Bitsとも提携し、AP通信のワークフローを用いた実証実験を行っており、連携強化を図りながら業界標準を見据えている様子もうかがえる。
ソニーは実証実験を踏まえ、カメラ内デジタル署名技術のリリースを2024年春頃に予定している。2023年11月に発表された最新のミラーレス一眼カメラ「α9 III」をはじめ、デジタル一眼カメラの「α1」・「α7S III」への搭載を予定している。(記事:三部朗・記事一覧を見る)
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