10日の香港市場概況:ハンセン0.8%高で4日続伸、中国ネット株と香港不動産株に買い

2023年10月10日 18:00

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記事提供元:フィスコ

*18:00JST 10日の香港市場概況:ハンセン0.8%高で4日続伸、中国ネット株と香港不動産株に買い
10日の香港市場は、主要80銘柄で構成されるハンセン指数が前日比147.33ポイント(0.84%)高の17664.73ポイント、本土企業株で構成される中国本土株指数(旧H株指数)が54.21ポイント(0.90%)高の6052.51ポイントとそろって4日続伸した。売買代金は796億7870万香港ドルとなっている(短縮取引の9日は468億7270万香港ドル)。


米金利低下が好感される流れ。コロンブスデーで9日に休場だった米債券市場では10日午前、米10年債利回りが急低下している(6日の4.8%台→4.6%台)。米連邦準備理事会(FRB)のジェファーソン副議長や米ダラス連銀のローガン総裁が「このところの金利高を受け、追加利上げの必要性は低下している」とそれぞれ述べたことを受け、追加利上げの警戒感が後退した。中国の消費伸び悩みの不安も薄らぐ。中秋節・国慶節連休(9月29日〜10月6日)の中国観光市場について、ゴールドマン・サックス(GS)は「1人当たり平均観光消費は改善傾向にある」とするリポートを発表した。ただ、上値は限定的。中東地域の地政学リスクが意識される中、指数は引けにかけて上げ幅をやや削った。(亜州リサーチ編集部)


ハンセン指数の構成銘柄では、中国オンラインゲーム大手の網易(9999/HK)が3.2%高、飲食ポータルサイトの美団(3690/HK)と不動産投資会社の九龍倉置業地産投資(1997/HK)がそろって3.1%高と上げが目立った。


セクター別では、香港の不動産関連が高い。上記した九龍倉置業地産投資のほか、恒基兆業地産(12/HK)が2.2%、領展房地産投資信託基金(823/HK)が1.6%、長江実業集団(1113/HK)が1.2%ずつ上昇した。米金利安を受け、金融政策で米国に追随する香港でも域内金利の上昇圧力が弱まると期待されている。


酒造やレストランチェーンの銘柄群もしっかり。華潤ビールHD(291/HK)が2.2%高、百威亜太HD(1876/HK)が2.0%高、青島ビール(168/HK)が1.4%高、九毛九国際HD(9922/HK)が3.4%高、海底撈国際HD(6862/HK)が1.7%高と値を上げた。


半面、海運セクターはさえない。東方海外(316/HK)が6.1%安、中遠海運HD(1919/HK)が3.8%安、中遠海運能源運輸(1138/HK)が3.4%安、海豊国際HD(1308/HK)が2.9%安と値を下げた。業績不安がくすぶる。東方海外は第3四半期(7〜9月)業績を発表し、売上高が65%減少したことを明らかにした。ほか、中遠海運は1〜9月期決算について、純利益が77%減少するとの弱気見通しを報告している。


ゼネコン株も安い。中国鉄建(1186/HK)が4.5%、中国中鉄(390/HK)が4.4%、中国建築国際集団(3311/HK)が4.0%、中国交通建設(1800/HK)が3.2%ずつ下落した。「一帯一路」戦略で海外進出を加速させているインフラ建設各社に関し、市場関係者の一部は「中東地域の混乱は、事業展開に影響を及ぼす」と指摘している。中国が掲げる広域経済圏の「一帯一路」戦略では、中東地区も重要なハブだ。


一方、本土市場は続落。主要指標の上海総合指数は、前日比0.70%安の3075.24ポイントで取引を終了した。ゼネコン株が安い。医薬株、エネルギー株、素材株、公益株、酒造・食品株、不動産株、海運株、金融株なども売られた。半面、半導体株は高い。自動車株の一角も買われた。

亜州リサーチ(株)《CS》

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