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米国株式市場見通し:金融決算、CPIやFOMC議事録に注目
*15:18JST 米国株式市場見通し:金融決算、CPIやFOMC議事録に注目
決算シーズン入りに伴い金融決算に注目だ。また、消費者物価指数(CPI)や卸売物価指数(PPI)など金融政策決定において重要なインフレ指標にも注目したい。9月雇用統計が予想外に強い結果となり、追加利上げ観測が強まったため、特にCPIの動向が重要になるだろう。また、新下院議長の行方も注視が必要だ。一方、投資家の間では、債券利回りが上昇する中でも株高が進んだ今年の相場がブラックマンデーに繋がった1987年と類似していると、イベントへの恐怖心も根強く、売り圧力は依然強そうだ。
FRBは9月連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨を公表予定で、次回会合での利上げの行方を見極めるうえで注目材料となる。FRBはこの会合で今までの利上げによる経済やインフレへの影響を見極めるために政策金利を据え置いたが、今後の政策は「データ次第」とし追加利上げの可能性も除外しなかった。また、24年の利下げ幅予想を大幅に縮小させるなどタカ派姿勢を維持。タカ派メンバーのクリーブランド連銀のメスター総裁は経済が強さを維持した場合、11月の利上げを支持する姿勢を示した。一方で、バーFRB副議長やアトランタ連銀総裁は金利がすでに十分に景気抑制的な水準に達した可能性に言及、利上げ打ち止めを示唆した。CPIが予想通りにインフレ鈍化の傾向を証明し、年内の利上げ終了観測が強まった場合には、相場の下値を支えることになるだろう。
他方、下院の混乱はリスクになる。共和党下院は11日に議長選挙を予定している。大統領候補で前大統領のトランプ氏がワシントンを訪れて事態収拾を試みるようだ。新議長が計画通り速やかに選出されれば、政局混乱への懸念も後退し、売り圧力が若干緩和するだろう。一方、マッカーシー前議長の選出の際には15回もの投票回数を要しており、今回も選出に時間を要した場合にはリスクがさらに高まり売り材料になりそうだ。新下院議長が選出されるまで様々な法案を巡る協議が滞る。また、例え選出されたとしても、保守強硬派の台頭で予算案を巡る合意に向けた交渉が進まない可能性もある。11月中旬には再び政府機関の閉鎖リスクが高まることは引き続き相場の上値を抑制する材料になるだろう。なお、9日はコロンバスデーで債券市場は休場。株式市場は通常通りの営業となる。
経済指標では、8月卸売在庫(10日)、9月卸売物価指数(PPI)(11日)、9月消費者物価指数(CPI)、週次新規失業保険申請件数(12日)、10月ミシガン大消費者信頼感指数(13日)、などが予定されている。ほか、FRBは11日に9月FOMC議事要旨を公表予定。
主要企業決算では、金融でシティグループ、JPモルガン・チェース、ウェルズファーゴ(13日)、飲料メーカーのペプシコ(10日)、ドラッグストアチェーンのウォルグリーンブーツ、航空会社のデルタ(12日)、管理医療会社のユナイテッドヘルス(13日)、などが予定されている。銀行決算では金利高で債券や融資の損失が警戒されるほか、小売りではコストの上昇、航空会社も燃料価格の上昇や需要鈍化のリスクに直面しており、見通しに警戒だ。
(Horiko Capital Management LLC)《FA》
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