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電波望遠鏡「HERA」で初期宇宙の暗黒物質を探索 ブリュッセル自由大ら
電波望遠鏡「HERA」 (c) 南アフリカ電波天文台(SARAO)[写真拡大]
宇宙で素粒子が占める質量の割合は、たったの5%に過ぎない。それ以外の95%の質量を占める存在を認めなければ、宇宙論は成り立たない。それらには宇宙質量の27%を占める暗黒物質(ダークマター)と68%を占めるダークエネルギーがある。
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前者は、銀河の構成要素を銀河内につなぎとめておくために、素粒子以外に必要な質量として仮定される。後者は、遠くなればなるほど宇宙空間の膨張速度が加速する観測事実を説明するため、仮定された。だがいずれもその本質は不明で、世界中の研究者たちが必死になってその謎の解明に努めている。
現在、南アフリカのカルー砂漠にある電波望遠鏡350基のネットワーク「HERA」によって、水素が発する波長21cmの電波をキャッチし、ビッグバンの約2億年後から約10億年後にかけての宇宙における、水素の大規模構造マッピングが行われている。このマッピングデータを分析して、宇宙誕生初期の暗黒物質の痕跡を検出する試みが、ブリュッセル自由大学の研究者らによって実施され、その研究レポートが公表された。
彼らは暗黒物質の有力候補とされるWIMP(Weakly Interacting Massive Particle)と呼ばれる仮想粒子の崩壊を捉えようと、試みた。初期宇宙は水素と暗黒物質て満たされていたと考えられ、水素が発する波長21cmの電波にはWIMP崩壊の影響が含まれているはずだが、非常に微弱だ。このためHERAがそれを検出するのに十分な感度を備えているのかどうかも、彼らは検証した。
今回1000時間の観測データ分析では、WIMP崩壊の痕跡を見出すことはできなかったが、その理由はWIMPが存在していないか、またはWIMPの半減期が1兆年をはるかに超える長い時間であるためだと結論付けている。またいっぽうでHERAは、WIMP崩壊を捉えるのに十分な検出感度を備えていることも確認できたという。
ホーキングらが存在を予言した原始ブラックホールも、暗黒物質の有力候補だ。原始ブラックホールはミクロンないしミリオーダーサイズで、宇宙誕生直後から無数に発生したとされ、金の起源にも大きく影響したともされるが、まだ確証はない。もはや暗黒物質の存在は間違いないが、本質の解明にはまだまだ時間がかかりそうだ。(記事:cedar3・記事一覧を見る)
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