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OPECプラス、10月から再び減産へ 原油価格の行方は?
●OPECプラスが10月の生産量を再び減産
OPECとロシアなどの非加盟国で作るOPECプラスは9月5日の閣僚級会合で、原油の生産量を10月に再び減産することを決定した。
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9月は米国バイデン政権からの要請で増産していたが、わずか1カ月で減産に転じることとなった。9月に日量10万バレルを増産したが、今回再び10万バレル減産することで8月の水準に戻した形である。
8月後半には報道されていたが、その時からWTI原油先物は反発基調だった。今回の決定を受けて、90ドル近辺まで反発したが、すぐに急落した。
需給共に改善の兆しが見えず、原油の先行きはどうなるのか?
●カギを握るイラン?
8月30日にも原油先物が急落する場面があった。
背景にはイランの核合意再建への警戒感がある。EUが8月初めに提案した最終文書にイランが合意するかどうかが注目される。
生産能力がすぐに回復するわけではないが、イランが国際市場に復帰することをOPECプラスなどの産油国は警戒している。
●減産の影響はどこまで?
イランの影は気になるところではあるが、短期筋の売りがあるかもしれないものの、そこまで原油価格の下落には繋がらないだろう。もちろん、イラン産の原油の供給が安定してくれば、供給面の見直しがある可能性は高い。
今回の10万バレルの減産は小幅な減産であり、世界需要の1%にも満たない。
そのことよりも今回の減産により、今後も産油国が警戒を強め、さらに減産姿勢を強めるのではないかという警戒感が強い。
ロシアとウクライナの戦争は終わりが見えず、供給面が過剰になることはないが、それよりも需要面の減退が警戒される。
米国のインフレはピークアウトの兆候が見られるにしても、世界経済の減速傾向は明らかである。米国のドライブシーズンが終わり、ひとまず原油需要も一服する。
中国では、成都市などで再び都市封鎖(ロックダウン)が行われている。今後さらに新型コロナの感染が拡大すると、他の都市までロックダウンが拡大することも警戒される。
しばらく原油価格は厳しいことになりそうだ。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
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