ソフトバンクGの苦境はいつまで続く?

2022年5月30日 16:15

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●ソフトバンクGが大赤字

 ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)の2022年3月期決算が、1.7兆円の大幅赤字に転落することが発表された。

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 前期は約5兆円の過去最高益だったが、一転してソフトバンクGとして過去最大の赤字となった。ソフトバンクGは時価総額が純資産価値を下回るディスカウント状態が続いている。

 “投資会社”のソフトバンクGにとって、株式相場の下落は致命的となる。今後も苦境は続くのだろうか?

●下落の要因は?

 もっとも大きいのは、AI企業へ投資しているソフトバンクビジョンファンドの収益悪化である。純資産価値のなかでも、ビジョンファンドが投資している新興ハイテク企業の株式が高いウェイトを占めている。

 ソフトバンクG会長兼社長の孫正義氏は、ロシアのウクライナ侵攻による世界的な影響と、金利の引き上げの影響も当面続くと見ており、インフレも収まらないと予測している。

 当面は現金を積むこと、投資を厳格に選定することなど、“徹底した守り”に入ると述べている。

●株式市場次第?

 2022年2月にも子会社である通信会社のソフトバンク株とともに大幅に下落する場面があった。この時は政府の政策による通信料値下げが響き、ソフトバンクの減益が発表されたことで売られた。

 ソフトバンクG株とソフトバンク株は切っても切れない関係であり、ソフトバンク株は料金の値下げ圧力だけでなく、楽天など他の通信会社との競争激化も避けられず、先行き見通しは決して明るくない。

 ディスカウント状態の解消のためには自社株買いで対応していたが、自社株買いのためにこれ以上借入金を増やし、債務を膨らませたくはない。

 ソフトバンクGのお家芸とも言える投資は守りに入らざるを得ず、自社株買いもできないとなれば八方ふさがりに見える。

 だが今回の発表では、一時約10%株価が下落したが、その後は下落前からも約10%上昇している。ソフトバンクGの決算も株式市場が好転すれば、再び大幅増益になる可能性が高い。

 ソフトバンクG浮沈の鍵は、株式市場の状況次第ということになるだろう。(記事:森泰隆・記事一覧を見る

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