キリンとウエルシア、ペットボトル回収しペットボトルにリサイクル 実証実験へ

2022年3月23日 19:14

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回収・再資源化・商品化の流れ(キリンホールディングス発表資料より)

回収・再資源化・商品化の流れ(キリンホールディングス発表資料より)[写真拡大]

 飲料大手のキリンホールディングスとキリンビバレッジ、ドラッグストア大手のウエルシア薬局は、使用済みペットボトルをペットボトルにリサイクルする「ボトルtoボトル」モデルの確立に向け、6月から埼玉県内のウエルシア薬局店舗で実証実験を始める。原油高でペットボトルの製造価格が上昇しているだけに、リサイクルボトルの需要増を見込んでいる。

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 実証実験では、埼玉県内のウエルシア薬局約190店舗に回収ボックスを設置。集めた使用済みペットボトルをオンライン上で可視化したうえで、リサイクル業者へ搬入する。業者が粉砕、洗浄などを進め、ペットボトルの原料にする。再生のコストを抑えるため、集めた使用済みペットボトルの輸送に商品配荷の帰り便トラックを活用する。

 キリングループは実証実験の結果を検証したうえで、近郊の他のドラッグストアや小売店舗でも使用済みペットボトルを回収し、活動の規模を拡大したい考え。

 ペットボトルは原油を原料に製造され、飲料容器に幅広く使用されている。ペットボトルリサイクル推進協議会によると、日本は2019年度で回収率93.0%、リサイクル率85.8%と世界最高水準のリサイクル優等生となっている。

 しかし、リサイクルペットボトルは原油から作る新品に比べ、製造コストが1、2割高い。このため使用済みペットボトルの多くがリサイクルペットボトルではなく、フィルムやシート、繊維などに再生されてきた。

 ところが、2021年からの急激な原油価格上昇に加え、ロシアのウクライナ侵攻でさらに原油価格が上昇した。日本容器包装リサイクル協会によると、原油価格高騰に伴って使用済みペットボトルの落札単価も高騰を続け、2月下旬には前年同期比の8倍に当たる1トン当たり6万4,196円へはね上がっている。

 原油高がリサイクルペットボトルのコスト高を打ち消していることから、飲料大手各社はリサイクルペットボトルの活用に大きく舵を切ろうとしている。(記事:高田泰・記事一覧を見る

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