相場展望6月21日 米2年/10年国債利回り差縮小⇒景気後退?⇒株下落? 米国株の変調は、日本株にとってマイナス

2021年6月21日 09:59

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)6/17、NYダウ▲210ドル安、33,823ドル(日経新聞)
  ・前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で2023年に2回の利上げ予想が示され、景気過熱やインフレを見込んだ取引を手仕舞う動きが広がった。素材や金融など景気敏感株に売りが強まり、金・銅・原油など商品相場も下落した。
  ・半面、4~6月期で好業績が見込めるハイテク株が、長期金利低下で買われ上昇した。

【前回は】相場展望6月17日 米金融政策の正常化(量的緩和縮小・金利上昇)への動き 米国株式は、景気後退回避の金融政策転換で曲がり角に
 
 2)6/18、NYダウ▲533ドル安、33,290ドル
  ・セントルイス連銀のブラード総裁発言「2022年後半の利上げ予想」のタカ派発言を受け、NYダウ先物は▲300ドル超安、米10年国債利回り1.443%に低下。(フィスコ)
   ・米連邦準備制度理事会(FRB)が早期の利上げに動くとの観測が強まり、
   (1)景気の抑制
   (2)株式市場への資金流入の縮小
  につながると見て、景気敏感株を中心に大幅下落した。(日経新聞)

●2.米2年/10年国債利回り差縮小⇒景気後退示唆か?⇒企業業績低迷?⇒株価下落を示唆?

 1)金利差縮小の状況
  (1)金利差縮小が始まったのは5/19時点から

 2)縮小し、マイナスになった場合、さらに株価急落

 3)景気敏感株は売られる

 4)金利低下で買われたハイテク株が、6/18には逆に売られたことに注目
  (1)FRBがハト派からタカ派に転じた後、ある時点からハイテク株も売られる傾向強くなるという経験則に着目したい。

 5)米国主要株価指数はチャート面で「三尊天井」形成の可能性高まる

 6)米国債長期金利低下は景気後退を示唆、逆に短期金利上昇で企業業績に悪材料
  (1)米国金利の推移
          5/19    6/18  金利差
    2年国債  0.155%  0.252%  短期金利は+0.097%上昇
    10年国債 1.671   1.443   長期金利は▲0.228%低下
    長短金利差 1.516   1.181   長短金利差は0.335%縮小⇒景気後退示唆

  (2)短期金利上昇は、企業活動を制約し、金融コスト上昇で業績悪化へ
    長期金利低下は、先行きの景気後退を見越した動きと解釈できる。

  (3)バイデン政権の超大規模財政政策期待で3月までは経済成長期待で金利上昇した。4月以降、巨大インフラ投資計画・増税の進展が議会交渉で見られず、経済成長への雲行きが怪しくなってきた。とすると、期待で膨らんでいた願いが、風船がしぼむように現実的に変化し始めたのではないか。その懸念が表面化したのが、長期金利の低下と、短期金利の上昇、長短金利差の縮小となった可能性がある。

  (4)それは、株価にとってマイナス材料となり得る。長期金利低下は、高PERのハイテク株にとって追い風のはずだが、6/18はナスダック総合指数が前日比▲0.93%下落した。今までとは逆の株価反応だっただけに、注目したい。

●3.米金融政策は、金融緩和から転換点に

 1)米連邦公開市場委員会(FOMC)で、『金融政策の正常化が想定以上のペースで進むとの  見方』が広がった。

 2)パウエルFRB議長は記者会見で、
  (1)『資産購入策について議論することを決めた』
  (2)『インフレ加速は一時的』との見方を大きく変えなかった。
     そして、実施時期は今後の経済データを確認して判断すると」と、慎重姿勢を強調した。

 3)全体的には、「FRBは緩和的な金融政策の縮小に向けて準備を始めた」との見方が強まった。

 4)なお、FOMC参加者18人のうち、13人が2023年内の利上げ2回・0.5%の引き上げを予想した。2024年予想からは前倒し人数が、前回3月の7人から大幅に増えたことに着目したい。

●4.FOMCのタカ派的サプライズで、(1)インフレ懸念後退 (2)米国債金利急上昇(ブルームバーグ)

 1)FRBは、必要とあれば米景気過熱を阻止すると、米債券市場に伝えたようだ。

 2)FOMC後、
  (1)2023年末までゼロ金利が維持されるとしていたが、2023年末までの2回の利上げ(計0.5%)を見込んでいることが示唆したことが驚きを誘った。そして、米国債利回りは急上昇した。
  (2)一方、インフレ期待の指数は急低下した。

●5.ゴールドマンSは、米利上げ時期予想を2023年7~9月期に前倒し、確率は50%(ロイター)

 1)経済成長が鈍化する可能性を踏まえ、実施確率を50%とした。

●6.米・新規失業保険申請件数は41.2万件と、予想36万件・前回37.6万件から悪化(フィスコ)

●7.米・6月フィラデルフィア連銀製造業景況予想は30.7と、5月31.5を下回った(フィスコ)

●8.米上院の超党派は、半導体分野への投資に対する25%の税控除を6/17に提案(ロイター)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)6/17、上海総合指数+7高、3,525
  ・5月経済統計が下振れし、経済回復ペースの鈍化が警戒されるなか、当局による景気対策への期待が改めて広がった。
  ・前日までの続落で3週間ぶりの安値水準に切り下げていただけに、買い戻しが先行した。
  ・業種別では、ハイテク関連・海運株が上がり、石油・石炭株が冴えない。

 2)6/18、上海総合指数±0、3,525
  ・商品市況安が相場の重石となった。前日の米市場では、WTI原油先物が▲1.5%安と反落し、金先物も急落した。上海商品先物取引所でも主な非鉄先物価格が安く推移した。
  ・米連邦通信委員会(FCC)は6/17、米国の安全保障上の脅威になるとして、中国5社が製造する通信機器を禁じる方針を決定した。
  ・当局は景気の腰折れを回避するために、経済対策を強めるとの見方が根強い。
  ・業種別では、金利低下を追い風にハイテク株が買われた。半面、石油・石炭株が安く、食品飲料株が冴えなかった。

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)6/17、日経平均▲272円安、29,018円
  ・米連邦準備制度理事会(FRB)が6/16に米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2023年中にゼロ金利政策を解除する方針を示し、市場の警戒感が高まった。さらに、米長期金利が上昇したため、割高感のある銘柄を中心に売りが広がった。
  ・FOMC後の日本株上昇を先回りした買いが、反動で売り戻された。

 2)6/18、日経平均▲54円安、28,964円
  ・成長株を牽引役に上昇して始まったが、次第に景気敏感株を中心に利益確定売りが膨らんで相場は引けにかけてマイナスに落ち込んだ。
  ・新型コロナ感染者数が、東京都で下げ止まりの傾向が見られ、経済活動正常化に水を差すとして、相場の重荷になった。
  ・ただ、米長期金利の低下を受けて、ハイテク株が買い直されるなど、相場を支えた。

●2.日本株動向に注意、米国株の変調は日本株にとってマイナス

 1)日米金利差が縮小 ⇒ 円高傾向を示唆 
             5/19    6/18
    10年国債金利差  1.601%  1.388%

 2)円高は、輸出企業の企業業績にとって負の材料となる。

 3) 米国の景気後退懸念からくる米国株式下落は、連動性の高い日本株にとっても逆風となる。

●3.企業動向

 1)東芝マテリアル 光触媒で新型コロナの抑制効に成功(Impress Watch)
           アルコール等は蒸発で効果は得られなくなるが、固体のため蒸発せず効果が持続するという特徴がある。

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6548 旅工房      コロナ後の旅行客増加期待。
 ・6577 ベストワン    同上。
 ・4397 チームスピリット 業績回復の兆し。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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