住宅の太陽光発電設置が義務化? エネルギー運用が投資チャンスになるか

2021年4月27日 17:51

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 3月末に米国のバイデン大統領が、2兆ドル(約220兆円)規模のインフラ投資計画を公表した。1.9兆ドルの緊急コロナ対策法案に署名したばかりということもあり、立て続けの経済対策に世界市場が驚きを隠せなかった。おかげでダウ平均も3万4000ドルを超える好景気振りだ。

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 それはともかく、今回の経済対策は、バイデン大統領の看板政策である地球温暖化対策に軸足を置いている。脱炭素燃料・再生エネルギー対策への力強い取り組み、中でも電気自動車普及における充電設備の拡充等に1700億ドルもの予算を当てている点にも注目したい。前大統領トランプ氏とは対照的に、バイデン大統領は不協和音が鳴り響く中国をも巻き込んで温暖化対策を推進させる意気込みだ。

 日本政府の動きもせわしない。4月16日には小泉進次郎環境相が、『2030年度の温室効果ガス削減目標』で、米国に歩調を合わせるように、『住宅への太陽光パネル設置義務化』という発言をしている。つまり、電力は基本的に自家発電を目指すというのが、今回の発言内容の根幹にある。

 ここで考えておきたいのが、戸建て住宅やマンションの屋上にソーラーパネルを設置するメリットだ。現在の相場で確認してみると、4人世帯の1日の平均消費電力量が13.1kWh・月400kWh(総務省統計局の統計)とある。電気料金を計算してみると、月に1万1200円(季節差1万~1万3400円)もの料金を負担しているということになる。

 一方、住宅用の太陽光発電設備の初期費用相場を確認してみると、10kw/日の発電量をカバーする設備は、工事費込みで300万円前後となると言う。なお、メンテナンスとして10年ごとのパワコンの交換工事(相場30万円)などが必要だ。つまり再生エネルギーの自家発電費用としては、初期に300万円、10年単位で30万円プラスアルファとなる。

 仮に30年の間、電力会社から電気を購入しないとするならば、月1万1200円の360倍で403万円の光熱費カットとなり、結果としてプラスマイナス・ゼロになる公算が高い。ならば、わざわざ初期費用を負担するメリットがないと思う人も多いだろう。

 しかかも2014年以降に、太陽光発電に対する補助金制度のほとんどが終了している。これまでは推奨の範囲ということで、この結果は仕方がない。売電単価も徐々に低下し、現在1kw19円(10kw未満の発電施設)と初期の魅力はすでに失せている状態だ。

 だが、しかしである。政府が住宅に太陽光発電の設置を義務化することがもしある場合、当然として設置費用に対する補助金が用意されるはずだ。通年の電気料金がほぼ発生せず、しかも初期費用の何割かが助成されるならば話は別だ。バイデン大統領にならって大型予算が組まれ、その一部を補助金へと回すならばメリットが拡大するだろう。

 現在もソーラーシステム開発は進んでおり、中国製においては日本産の半値以下の商品が提供されてもいる。更に言うならば、中国では路線バスの屋根に張り付ける、曲げられるソーラーパネルをリリースしている。この技術はそのまま一般の自動車に応用可能だ。自宅生活も移動手段もソーラー電力で個人が賄うというのであれば、これほど明るい未来はない。

 産業革命以降、世界のパワーシフトを動かしてきた一因として、石油を中心とするエネルギー争奪が根底にあった。エネルギーを自由に作ることができない大衆は、一方的にエネルギーの消費者に甘んじる社会が構築されてきた。大げさな話だが、我々の生活にとって実質的なエネルギー自由化は大問題である。

 しかも、ちょっとした設備を購入するだけで、個人レベルによるエネルギー生産が可能になるのだ。なるほど、2010年あたりの太陽光発電ブームは、個人の電力生産において実用性は低かった。しかし、ソーラーシステム自体のコストダウンと、蓄電システムの技術進歩、電力の消費システムの多様化によって、自由に電力を携帯し、多目的に消費できる便利な社会が実現している。

 繰り返すが、発電のコスパは年々向上している。ここに行政による金銭的・技術的後押しが加わるならば、今回の再生エネルギーブームは単なる流行には終わらないだろう。もちろん、近い将来にエネルギー価格の大幅ダウンが一斉に始まると思われる。

 やや先行投資にはなるが、政府が住宅の太陽光発電の設置を義務化し、納得のいく補助金を提案するなら、多少無理をしてでも着手する方がメリットだろう。自己管理によるエネルギーサプライは、原発問題を解決する手段であり、緊急避難時の対策にもつながる。蓄電システムが向上によって、ごく小規模のコミュニティ内でエネルギー互助も可能となるだろう。

 そういった民間の活動の中に、これまでにない新しい投資・資産運用のチャンスが潜んでいる可能性が極めて高いとみる。(記事:TO・記事一覧を見る

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