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標準車と改造車
Photo:ブレーキランプが点灯しても見え難い「要注意車両」©sawahajime[写真拡大]
●メーカーが市場投入する車
自動車メーカーが「型式認定」を取得して市場投入(=一般ユーザーへの販売開始)をするまでには、想像出来ないような多岐にわたる試験を行っている。
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極寒、灼熱、高高度標高といった環境、悪路対策や、高速走行に関する風洞実験等々を経て、長時間、長距離の実験走行の集大成として、国内はもとより、輸出相手国の事情に合わせた仕様の車が市場投入される訳だ。
こんなメーカーが総力を挙げて開発した仕様を、素人が勝手に「改造」しても、総合折角バランスがとれたものを、崩してしまうだけだ。レーサーが自身の乗るレーシングカーのセッティングに関して、コンストラクターと意見を交換しながら改善してゆくステップとは次元が違う。
●要注意車両
路上で極端に車高を落とした車や、ネガティブ・キャンバーをかけて、タイヤが「ハの字」になっている車、ストップランプや方向指示ランプを黒くした車を見かけたら、言い方は悪いが、「性格が粗暴で、運転技術が未熟な“アタマの悪い奴”」だと判断して近寄らないことだ。
2輪車の、ナンバープレートを折り曲げて真後ろから読めない様にした奴も、違反や事故の際に「逃げる気満々」だと判断するべきだろう。
●暴走族側の言い訳
昔、駐在先のディーラーに、D君という若いが腕の立つメカニックが就職して来た。訳あって関西の前の仕事先から東京に移り住んだのだが、前の勤務先には暴走族とかも出入りしていたそうだ。
そのD君は、「暴走族も馬鹿ではやれないのです」と不可解な話をするので、委細を訊ねると、つぎの様な話であった。
極端に車高を落とした「シャコタン車」は最低地上高(ロードクリアランス)が極めて小さく、ガソリンスタンドに入るにも、車道から歩道を横切ってスタンド敷地内に入る際に、腹を擦る。その為、斜めに進入しなければならず、余程間口が広く無ければ、給油に寄れるスタンドは限られる程だそうだ。
道路に普通にあるマンホールでも、引っ掛かって「亀になる」(=腹がつかえて進めなくなる)場合もあるそうで、普段から暴走するルートの路面の凸凹には気を使い、ヤバイ場所は「暗記」しておく。
踏切手前等は、ドライバーへの「注意喚起の凸部」があるので、反対車線に出て、対向車線の踏切の出口側から進入するとか。だから、暴走エリアの路面を覚える必要があり、「馬鹿にはつとまらない」のだと。
●更生した暴走族
メーカー契約ドライバーのK氏は国際的にも名が知られた存在だった。神戸市在住で、若い頃は六甲山で腕を磨いたので、「六甲山なら目隠ししても走れる」といわれていた。
ある日、鷲羽山を根城にしている暴走族のリーダーがK氏を訪ねて来た。そして無謀にもK氏に挑戦したいと申し込んだ。
気の優しいK氏は、このリーダーを更生させる為に受けて立ち、当然のことながら、完膚なきまでに打ち負かした。そして、ノーマル車を乗りこなすことが如何に大切かを説き、岡山のサーキットで開催される「ノーマルカーレース」参戦を勧めた。
その彼は、参戦当初はまるっきりダメだったが、腕を磨いて次第に上達していった。K氏の目論見とおり、見事更生させた訳である。
●暴走族再教育案
最後に筆者の突拍子もないアイデアを披露して見たい。
「暴走行為」で検挙されたドライバーには、サーキットへ所有する改造車を持ち込ませて、「基準タイムをクリアすれば免停期間を軽減する」ことにしたい。
本来、違法改造車は、ノーマル車よりも走行安定性は劣っている。一般道路で暴走車両が早いのは、まともなドライバーが近寄らないのと、信号が変わりそうでも、変わった直後でも、「クソ度胸」で走っているからだけの結果だ。
一般道路を度胸だけでつっ走るのとは異なり、サーキットでタイムを縮めるには、先ずはノーマルに戻す方向で車を整備しなければならない。
無茶をやっている連中は、2019年の東池袋暴走事故で母と子を「殺し」、多数に怪我を負わせた「旧通商産業省工業技術院の元院長と同じレベルだ」といわれれば気が付いてくれるだろうか?
早く気が付いて足を洗って欲しいと、切に願う。(記事:沢ハジメ・記事一覧を見る)
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