M&Aを軸に国際化を着実に図る、カルビーの海外戦略

2021年3月31日 08:19

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 製菓業界で「売上高1位(前3月期、2559億3800万円)」、かつ「時価総額1位(本稿作成時点、3750億円余)」の企業はカルビー。創業は1949年。丑年。今年でカルビーは72年目を迎える。故松尾孝氏が興した前身の松尾糧食工業が現社名に変わったのは、1955年。未だ食生活では摂取が不足していたカルシウムの「カル」と、ビタミンビー群の「ビー」をもじった造語だった。

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 「かっぱえびせん」にはじまり、相次ぐヒット商品を世に送り出し、知名度・商圏を広げていった。だが上場は、2011年。東証1部への直接上場からも明らかな通り、遅ればせの上場だった。詳細は後述するが、上場の立役者は3代目社長の松尾正彦氏だと言える。

 松尾氏は、同族経営を自分の代で終える決断をした。2005年に中田康雄社長/そして09年に伊藤秀二社長体制を敷くのと同時に会長兼CEOからも退き、後継CEOを松本晃氏に委ねた。昨今話題の米国FADが3番目の新型コロナウイルスワクチンとして緊急許可した、医薬品メーカーJ&J(ジョンソンアンドジョンソン)の代表を務めたキャリアを持ついわゆる「プロ経営者」である。

 松本氏は上場に際し、「海外戦略を強化するための上場」と明言している。海外戦略の道程も、松尾正彦氏だと言って過言ではない。CEOとして06年に「中国拠点」、「米国拠点(ノースアメリカン)」を設立。そして09年には、世界最大の食品企業:ペプシコと業務提携に至った。具体的にはペプシコの全額出資会社:フレンドリー買収である。ペプシコとの「縁」は、カルビーの海外市場拡充の大きな後ろ盾となっている。

 今3月期をカルビーもコロナウイルスの影響を勘案し5.5%の増収も「12.4%の経常減益、10.5%の最終減益」計画でスタートしたが、期中で「3.5%の増収(2650億円)、5.1%の経常減益(260億円)、7.6%の最終減益(162億円)」に修正。利益上方修正を「19年に買収した米国ワーノック社(ポテトチップス等の米国向け受託生産)の貢献本格化」と説明した。

 カルビーは19年5月に「至2030年長期ビジョン」と「至24年3月期の中計」を策定している。「国内事業の高収益化」「海外事業重点4地域(北米・中華圏・英国・インドネシア)の基盤拡充」「ペプシコとの国内外の連携強化」などを目標として掲げている。数値目標を盛り込んだ中計では「総売上高3100億円に対し海外売上高800億円」、と海外売上高比率4分の1強を想定している。

 18年10月に英国のSeabrook社を子会社化しているが、海外事業拡充に今後ともM&Aが展開されることは容易に想像ができる。M&A展開に当たっては時価総額の大きさがメリットになることは、周知の通り。冒頭に「製菓業界で時価総額1位」と記したのも、それゆえである。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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