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マツダが初めて発表した量産型EV「MX-30 EV MODEL」、交錯するその思惑!
EV開発の最大の悩みは航続距離の確保と、バッテリーの重量や価格との妥協点をどこで折り合うかにある。
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航続距離を長くするためには大容量のバッテリーを搭載するしかないが、重量が嵩むほどに効率は低下する。おまけにバッテリーが高価であるため、大量に搭載すると車両価格は膨れ上がり、車室も狭くなって居住性が悪化する。リチウムイオンバッテリーにつきまとうこの究極のジレンマは、今のところ解決できないと考えられている。
バッテリーの問題を一気に解決すると期待されている全固体電池も、構想段階の夢が本当に実現できるとは限らない。世界の頭脳が導き出す正解を待つしかないが、いつどんな形で実現されるかは誰にも分からない。
そんな中でマツダの考える現時点での1つの答えが、1月28日に発売された初の量産型電気自動車(EV)「マツダ MX-30 EV MODEL(エムエックス サーティ イーブイ モデル)」だ。原型は19年の東京モーターショーで「マツダ初の量産EV」として公開されていたが、20年10月にマイルドハイブリッドモデルとして「MX-30」が発売されていたので、今回改めてEVモデルとして登場したことになる。
車体のデザインと機能はMX-30と同等だが、グレードは3つに分かれ希望小売価格は451万~495万円だ。マイルドHVモデルのMX-30ベーシックセットは249万円だから、同等グレードと思しき451万円との比較では202万円高い。
「MX-30」と「MX-30 EV」が、車体と機能とも同等の製品であって多少の利益も上乗せされていると考えるなら、両車の間に生じた大きな価格の相違はガソリンエンジン車かEV車という違いから生じたと考えるのが自然だ。ざっくり言うとエンジンをモーターとバッテリーに置き換えたことによって、200万円ほどの価格差が生まれたということになる。つまり、バッテリーが車両価格を引き上げる元凶であることが改めて確認できたと言える。
これだけ価格差がありながら、バッテリー容量35.5kWhのMX-30 EVの航続距離はWLTCモードで256kmだ。ガソリンエンジン車と比べて大きく見劣りするのは止むを得ないが、MX-30 EVに近い価格設定がされている日産のEVリーフ(315~403万円)の場合は、容量40kWhタイプで約400kmである。両車の違いを正確に比較することは不可能だが、直感的に大きなハンディを感じさせる格差がある。
価格にしても航続距離にしても、「MX-30 EV」に市場競争力が欠けていることはマツダも織り込み済みだろう。日本国内の初年度販売目標台数を僅か500台に限定しているところに本音が垣間見える。
視点を欧州に転じてみると、全く違った景色が見えて来る。電動車へのシフトが急ピッチで進む欧州では既に受注が1万台を超えているようだ。国によって違いはあるものの、EVなどのエコカーを補助金によって奨励する一方、排ガス規制によるガソリン車への厳しい縛りが相俟って電動車へのシフトが促進されている。
単にユーザーに対してクルマを売るという従来型のマーケットが大きく変化した以上、メーカーも戦略的にならざるを得ないということだ。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)
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