トヨタ、米で制裁金1.8憶ドル支払いに合意 バイデン政権誕生前に

2021年1月19日 15:58

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 トヨタ自動車は14日、米大気浄化法(CAA)に基づく排出ガス制御部分の不備報告義務があったにもかかわらず、その報告義務を組織的に違反していたとする問題で、1.8憶ドル(約190憶円)を支払い、米政府と和解することで合意した。

 この罰金は、米政府に対して排出ガス制御部分に問題がある車両の欠陥報告を怠っていたことに対するペナルティであり、排出ガス試験で虚偽の報告をしていた訳ではない。

 米国では、単一車種で25台以上に排出ガス関連の欠陥や故障が発覚した時、CAAに基づいて、米国環境保護庁(EPA)に排出ガス欠陥レポート(EDIR)に報告する義務がある。トヨタは、2005年から2015年までの間に排出ガス関連で発生した約78件の欠陥について、数百件の報告遅延があった。

 トヨタがこの時期に和解に応じたのは、バイデン政権誕生を睨んでの行動であると見ることができる。環境問題に消極的だったトランプ政権の下であれば、支払いが先延ばしにされた可能性はあるが、バイデン政権が正式に発足すれば話は大きく変わってしまう。

 バイデン次期大統領は、トランプ大統領が緩和した米温室効果ガス(GHC)についいて、オバマ政権下で制定された基準を大きく上回る基準で制定するとしているからだ。自動車産業でも電気自動車(EV)普及を加速させるため、2030年末までに50万台を超える公共の充電設備を設置すると発表している。

 だがトヨタは、1950年代から米国に進出している大企業であり、これまで多くの訴訟問題をクリアしているにもかかわらず、今になってこの問題を解決する意図としては、政権交代が大きく影響していると思わざるを得ない。

 一方で、米国国内では、トヨタが発売するSUVやトラックが平均より高いCO2排出量であるという話も出ており、米国内の世論の反応も少なからず影響しているだろう。(記事:小泉嘉史・記事一覧を見る

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