相場展望1月18日号 『日経平均』の暴走は、外資系短期筋が買い煽った株価操作の贈り物か?

2021年1月18日 08:31

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■I.米国株式市場

●1.NYダウの推移

 1)1/14、NYダウ▲68ドル安、30,991ドル
  ・バイデン次期大統領が発表の数兆ドル規模の経済対策を期待して上昇したが、買い一巡後は、長期金利が上昇したのを背景にハイテク株への売りが重荷になった。

【前回は】相場展望1月14日号 バイデン新政権での大規模刺激策を期待して株価は上昇したが、その実現可能性は?

 2)1/15、NYダウ▲177ドル安、30,814ドル
  ・12月小売売上高が市場予想を下回り、嫌気した売りが出た。(日経新聞)
  ・最近の急激な株価上昇の反動が出て、金融・エネルギー株が下落。(ロイター)

●2.米国株は、バイデン新政権の経済対策を煽る短期筋の買い上がり状況にある

 1)米株式市場には、(1)財政支出急増 (2)FRBの超緩和策継続 (3)低金利で債券投資から株式にシフト (4)海外からの投資資金など、余剰マネーが流入して株価上昇を招いた。

 2)そのタイミングで、新政権による追加経済対策など好材料が提供され、一段と株高となっている。

 3)懸念材料として浮上してきたのが、米10年国債利回りの上昇である。
  ・米債券投資家は、10年国債利回りが1%台になってきて、損失を抱え込む水準になった。これ以上、長期金利が上昇すれば(1)債券投資の損切り (2)損失補填のための株式売却というシナリオが具現化する恐れがある。
  ・もっとも、楽観的な考え方として、債券市場からさらなる株式市場に資金が流入するから株式市場にとって好材料だとの意見もある。
  ・しかし、金利のさらなる上昇は、ハイテク株など高PER銘柄に『割高感』が出て売られやすくなるリスクがある。
  ・1/11~15の週のNYダウは、▲283ドル下落(▲0.9%減)した。

●3.バイデン次期大統領は1.9兆ドル規模の経済対策を提示=NYタイムズ(フィスコ)

 1)新型コロナ対策としてワクチン接種など  4,150億ドル(ロイター)
 2)家計支援                1兆ドル
  国民への現金給付  前回600⇒今回2,000ドル
  失業給付の上乗せ  現在週300⇒400ドル、9月まで延長

●4.米FRB議長は1/14、出口戦略の議論は経済の目標がほど遠く「今ではない」(ロイター)

 1)月額1,200億ドルの債券購入に関する議論は「時期尚早」という考え方を示した。

 2)利上げについても、新型コロナ感染拡大が続いており「今すぐは無い」と強調した。

●5.米・先週分新規失業保険申請件数は予想78.6万件を上回り96.5万件と弱い (フィスコ)

 1)前回78.7万件をも上回った。

●6.NY連銀製造業指数の1月は予想6に対して3.5に低下、12月は4.9(ブルームバーグ)

●7.米小売売上高の12月は予想を下回り前月比▲0.7%減少(ブルームバーグ)

●8.全米ライフル協会が1/15、テキサス州裁判所に連邦破産法11条の適用を申請(フィスコ)

 1)NY州の司法長官は昨年8月、協会幹部らが個人的な使途のために多額の資金を流用したとして、協会の解散を求める訴えを起こしていた。(ロイター)

■II.中国株式市場

●1.上海総合指数の推移

 1)1/14、上海総合指数▲32安、3,565
  ・新型コロナ感染の再拡大が相場の重荷となった。(トレーダーズ)
  ・5年ぶりの高値圏で推移し、目先の利益確定売りに押された。

 2)1/15、上海総合指数+1高、3,566
  ・中国人民銀行が金融市場から実質的に資金吸収したことが重石になった。(内藤証券)

●2.中国新車販売2020年は3年連続で減少、トヨタとホンダは過去最高(レスポンス)

 1)中国自動車工業協会1/13発表、総販売台数は2,531万台、前年比は▲1.9%減。
 2)トヨタ過去最高の179万台で前年比+10.9%増。ホンダも過去最高の162万台の前年比+4.7%増。

●3.中国がハイテク分野で対立する米国の牽制のため、レアアースの統制強化(産経新聞より抜粋

 1)中国政府は1/15、ハイテク製品の生産に欠かせないレアアース(希土類)への統制を強化する「レアアース管理条例」の草案を発表した。

 2)米国を牽制する狙いがあると見られるが、施行されればレアアースを中国から輸入する日本企業にも影響が出る可能性がある。

 3)レアアースは、電気自動車やスマートフォンなどの部品に使われている。

 4)中国はレアアースの生産量で世界シェアも6割程度を占め、米国や日本も中国から輸入している。

 5)2010年の尖閣諸島(沖縄県石垣市)沖で起きた中国漁船衝突事件で事実上の対日輸出規制を実施した経緯もある。

●4.米国、中国・新疆ウイグル産の綿製品とトマトを、強制労働を奴隷と指摘し輸入禁止へ

 1)中国政府は、強制労働は欧米機関のでっち上げ、と主張。(ブルームバーグ)

■III.日本株式市場

●1.日経平均の推移

 1)1/14、日経平均+241円高、28,698円
  ・バイデン次期大統領による数兆ドル規模の財政支出を契機に株価は上昇した。
  ・日経平均上昇の寄与は、わずか5銘柄で154円と値上がり幅の64%を占め、歪な上昇と言える。
  ・株価は大幅上昇したものの、値上がり銘柄数は1,000、値下がり1,090と個別銘柄で見ると冴えない。

 2)1/15、日経平均▲179円安、28,519円
  ・日経平均は1/7~14までの5営業日で+1,643円高と急伸し過熱感があったところにNYダウ先物が下げ幅を広げたことで、短期筋を中心に利益確定売り圧力が強まった。

●2.『日経平均』の爆走は、外資系短期筋の『買い煽り』の株価操作の贈り物か?

 1)業績改善とか、景気回復とか、米国株高とかという解釈を超えた、外資系短期筋による日経平均指数に的を絞った『買い煽り相場』による株価上昇に加えて、売り方の『踏み上げによる、買戻し相場』で、日経平均のみが爆走したと言えよう。

 2)海外投資家は日本株を買う積極的理由が無い
  ・ドル建て日経平均は、1989年12月のバブル時の日経平均38,915円を超えた。バブル後の株価急落を思い起こすと、買い上がるには新たなシナリオが必要と思われる。
   ドル建て日経平均:1989年12月 270.82ドル ⇒ 2021年 1/14 275.94ドル。

 3)値上がり・値下がり銘柄数の差引数の推移を見ると、相場の弱さが気になる
           1/7   1/8   1/12   1/13   1/14   1/15
  日経平均値動き +434円 +648   +25   +292   +241  ▲179
  値上がり銘柄数 1,664   1,725  1,076   1,232 1,000 486
  値下がり銘柄数  445   384  1,038    856   1,090   1,652
  銘柄数差異   +1,219  +1,341   +38    +376  ▲90 ▲1,166

 4)年初からの上昇率(1/4⇒1/15)を見ると、日経平均の強さがNYダウに比べて目立つ
  NYダウ  1.9%
  日経平均  4.6%

 5)日本株の株価指数のなかで『日経平均』指数のみが絶好調
  日経平均は30年ぶりの高値ともてはやされているが、TOPIXは1/14の高値は1,873で2018年高値1,911も超えていないのが現状で、『日経平均』指数のみが突出している。
  日経平均   4.6%
  TOPIX    3.4
  東証2部   1.8
  マザーズ  ▲0.4
  ジャスダック 1.4

 6)1/7~14の日本株先物の買い残枚数の動向
  同期間の上昇額+1,643円高は短期筋の買い仕掛け
  1/6 238,324枚 ⇒ 1/8 270,604枚(+13.5%増)と買い枚数増加
  ⇒ 直近の買い枚数最高値(11/30、27,483枚)に接近し、買い仕掛けは天井か?

 7)野村は1/14の15時までは買い上がった(+4,092枚買い枚数)が、15時以降は真逆に▲3,008枚売り越した結果、夜間取引終了後で見ると+1,084枚買い残増に留まった。
  ⇒ 1/14日経平均の急騰と、1/15の急落の原因は、野村と一部の外資の動向で説明できる。
  ⇒ 野村と一部外資証券を経由した外資短期筋の株価操縦が見えてくる。

 8)米国株は「良いところ取り」で好材料に反応して、悪材料は無視してきた。新大統領就任式を機に「興奮」から冷めると、今まで見なかった悪材料が気に掛かり始める。米長期金利は1%台乗せしたが、これ以上の金利上昇は株価の「割高感」を醸し出す。その時、日経平均を買い煽ってきた外資系短期筋は手の平を返して売り浴びせてくる可能性がある。その場合、『山高ければ、谷深し』となるので警戒したい。米・欧・日の3極の中央銀行による超金融緩和策が続く限り『谷割れ』とならないが、相応の下落局面はあり得る。今は資金化して、下落した段階で「買戻す」という考え方も1つかもしれない。

●3.企業動向

 1)ANA・JAL 2月にかけて当初計画の半分程度に大幅減便へ (NHK)
 2)SUBARU  半導体不足で1/15から2日間の生産停止(時事通信)

■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)

 ・6502 東芝     半導体需要増と価格上昇。
 ・7259 アイシン精機 自動車回復。
 ・8252 丸井     業績回復期待。

著者プロフィール

中島義之

中島義之(なかしま よしゆき) 

1970年に積水化学工業(株)入社、メーカーの企画・管理(財務含む)を32年間経験後、企業再生ビジネスに携わる。 現在、アイマックスパートナーズ(株)代表。 メーカーサイドから見た金融と企業経営を視点に、株式含む金融市場のコメントを2017年から発信。 発信内容は、オープン情報(ニュース、雑誌、証券リポート等々)を分析・組み合わせした上で、実現の可能性を予測・展望しながらコメントを作成。

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