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■I.米国株式市場
●1.NYダウの推移
1)1/4、NYダウ▲382ドル安、30,223ドル
・(1)コロナ感染再拡大と(2)米ジョージア州で民主党勝利となると法人税増税と金融規制強化で株価に逆風、との懸念が強まり一時ダウは▲700ドル超の下落となった。
【前回は】相場展望1月4日号 昨年終盤の状況と、2021年日経平均シナリオ予想
2)1/5、NYダウ+167ドル高、30,391ドル
・原油上昇とISM製造業指数が改善し、NYダウは上昇。
3)1/6、NYダウ+437ドル高、30,829ドル
・バイデン民主党政権が上院でも主導権を握れば新たな経済対策が実施やすくなるという期待が広がり、NYダウは最高値を更新した。(NHK)
・ナスダックは逆にハイテク株の逆風が高まるとして▲78安の12,740。
●2.上院を民主党が主導権握る可能性あり、株式市場は良い所取りで急騰
1)民主党が、ホワイトハウス・上院・下院の支配が現実味を帯びた。
(1)昨年の大統領選挙時の上下両院議会選挙では、上院が共和党というネジレ議会を想定させた。このため、極端な左派の政策(増税・ハイテク企業規制・金融業規制強化)を採用できなくなったとのことで、株式市場に安心感が広がり、株価上昇に弾みをつけた。
(2)1/5のジョージア州上院選挙結果を受けて、株式市場は大規模財政政策に焦点を合わせた良い所取りをして景気敏感株を中心に幅広く買われて急騰した。
2)財政拡大による国債増発で需給が悪化するとして、米10年国債利回り1%超に上昇
3)株式市場にとって逆風もあり、まだら模様。
(1)バイデン政権の政策目玉である再生可能エネルギー関連等を筆頭に幅広く株高を牽引した。
(2)長期金利上昇を受け、業績改善期待で銀行株は大きく上昇した。
(3)GAFAMは規制強化の懸念があり、1/6は急騰の枠外となり取り残された。
4)株式市場は良い所取りで大幅上昇しているが、『悪材料』の消化はこれから。
(1)長期金利上昇は、値嵩株や大手ハイテク株にとって『割高株』となる
・FRBによるゼロ金利政策で高株価が可能だったが、金利上昇で割高に転換し売られるリスクを内包した。
(2)独占禁止法適用検討で、巨大ハイテク株への逆風はこれからが本番を迎える
・ハイテク企業が多いナスダック総合指数は昨年来で43%上昇したので、下落が加速すると値幅を伴い、他の指数も連れ安する可能性。
(3)増税による企業業績の悪化は今後表面化する
(4)金融業界も規制強化の対象としてまな板に上がる
●3.米10年国債利回り1%に到達、昨年3月以来、上院選挙の決選投票が材料(ブルームバーグ)
1)新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で市場が動揺した昨年3月以来となる1%に達した。
2)米上院選挙のジョージア州2議席を確定させる1/5の決選投票の結果、民主党が勝利すると、民主党が上院の主導権を握る可能性が材料視されている。
●4.米ジョージア州・上院議員選挙の行方に警戒、民主党なら株式▲10%下落・ドル安(フィスコより抜粋)
1)1/5に上院2議席を争う決選投票が行われる。金融市場は、民主党大統領政権下、上下院両院とも民主党が過半数を占め、圧倒的多数となることを十分に織り込んでいない。万が一、上院で2議席とも民主党が勝利した場合、50対50となりハリス副大統領の1票で民主党が主権を握ることになる。
2)従来、ジョージア州は共和党が優勢であったが、最新の世論調査では票は拮抗しており、民主党の勢いから勝率が上昇しつつある。民主党勝利の確率は、昨年末で25~30%が、ここ数日間で50%近くまで急伸した。
3)今までは民主党大統領の下でのネジレ議会(上院共和党、下院民主党)では、極左の極端な政策に実施が困難となり、ほぼ現行の政策が維持されているとして、金融市場は上昇してきた。
4)民主党の完全勝利は、追加財政政策規模の拡大を意味する。一方で、経済を増税や規制強化というリスクにさらす。企業の利益も低下する。アナリストは万が一、民主党完全勝利が現実となった場合、株式市場が▲10%ほど下落すると警告している。財政の拡大や景気の悪化から、ドルは一段と下落(円高)する可能性は否めない。
●5.米12月ADP雇用統計、予想外の▲12.3万人マイナス(フィスコ)
1)予想は+7.5万人増、前月11月は+30.4万人増だった。(ブルームバーグ)
●6.米12月製造業PMIは57.1と、2014年9月来で最高(フィスコ)
●7.予想インフレ率が2%を超え(1/5)、FRBの金融緩和策実施の基準の1つをクリア
●8.NY金先物は大幅続伸、米政治不安などを材料視し安全逃避的な買いが広がった(フィスコ)
1)ニューヨーク商品取引所で1/4、+51.5ドル高の1,946ドルと大幅続伸した。
●9.米国債券市場ではインフレ予想、景気回復期待で2018年以来初の2%超(ブルームバーグ)
1)新型コロナのワクチン接種開始と、米ジョージア州での上院議員選挙の決選投票で民主党の上院過半数奪回が決まるとの観測も背景にある。
●10.欧州
1)英、医療崩壊の危機で、イングランド全土の都市封鎖を発表(ブルームバーグ)
■II.中国株式市場
●1.上海総合指数の推移
1)1/4、上海総合指数+29高、3,502
・中国経済が持ち直しの動きが続くとの見方が広がり、2年11カ月ぶりの高値。(NHK)
2)1/5、上海総合指数+25高、3,528
・年金基金の株式購入枠を40%に拡大する方針で株式市場に資金流入するとの思惑が高まった。加えて、5ヵ年計画への期待から続伸した。(カブタン)
3)1/6、上海総合指数+22高、3,550
・中国本土株は5営業日続伸で値上がり止まらず。低金利で理財商品から株式に資金が流入している。急ピッチな上げは2015年バブル再現の恐れも。(ブルームバーグ)
●2.中国1/4発表、12月財新製造業PMIは53.0で市場予想54.7を下回る(フィスコ)
■III.日本株式市場
●1.日経平均の推移
1)1/4、日経平均▲185円安、27,258円
・米株高を受け一時+150円超高と反発して始まったが、首都圏での緊急事態宣言を週内に検討と伝わり、加えて米ダウ先物の下落で一転して▲400円超まで下落した。
・その後、日銀ETF買い期待もあり下値では押し目買いが入って相場を支えた。(日経新聞、モーニングスター)
2)1/5、日経平均▲99円安、27,158円
・米ジョージア州上院議員選挙の決選投票を前に、民主党政策への警戒感が高まり、ポジション調整売りで下落し、日本では緊急事態宣言の検討が相場の重荷になった。
3)1/6、日経平均▲102円安、27,055円
・民主党が、大統領と上下両院を握ると増税や規制強化が進むことの警戒が広がった。
・ただ、米長期金利上昇で生保や銀行が高く、割安株に押し目買いが入り、下げ渋った。
●2.本日1/7はNYダウ急騰を受け大幅上昇するが、円高で頭が重くなるか
1)円高で、外資系は日本株の買いポジションの縮小に動く可能性があり、株価は上値が重くなる可能性もある。
●3.「首都圏はステージ『4』相当」と政府新型コロナウイルス感染症対策分科会(共同通信)
1)ステージ『4』とは、「爆発的感染拡大」を指す。
●4.緊急事態宣言は1/7から1カ月の見通しで、外国人の新規入国は全面停止(共同通信)
●5.個人消費は、緊急事態宣言再発令で4兆8,900億円消失の恐れ(読売新聞)
1)野村総合研究所は、1都3県で1カ月間の影響額として試算した。
2)昨年の4~5月の全国での宣言発令時は約22兆円の消費が消失したと見込んだ。
●6.百貨店の初売りは軒並み半減、昨年の売上高は「経験ない数字」(朝日新聞)
■IV.注目銘柄(投資は自己責任でお願いします)
・8316 三井住友フィナンシャル 長期金利上昇で利ザヤ拡大。
・6182 ロゼッタ 割安感あり。
・6754 アンリツ 5Gに期待。
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